熱中症防止へ「涼み処」  市街地の6施設を避暑スペースに指定 きょうから9月末まで運用 

 今夏も厳しい暑さが予想される中、大船渡市は公共施設や商業施設6カ所を避暑スペースとして気軽に利用できる「涼み処」として指定し、12日から9月30日(月)までの間、市民らに開放する。熱中症予防を呼びかける広報に加え、協定を結ぶ民間事業者の業務活動を生かして見守りなどにも力を入れることにしている。(佐藤 壮)

 

避暑スペースとして利用できる「涼み処」として指定されたサン・リア

 人間の熱バランスに影響が大きい気温と湿度、放射熱による「暑さ指数」が33以上になると、気象庁と環境省は「熱中症警戒アラート」を発表する。県内では令和3年度は7回、4年度はゼロだったが、猛暑となった5年度は22回と急増した。
 市内の熱中症救急搬送も3年度の14人、4年度の12人から、5年度は50人に増えた。市によると、死者はなく、いずれも軽症だったという。
 熱中症対策強化に向け、今年4月に改正気候変動適応法が施行された。熱中症の危険が極めて高い場合は「熱中症特別警戒情報」(通称:熱中症特別警戒アラート)が出るほか、特別警戒情報の発表期間中は暑さを避けるための施設開放措置などの仕組みを促している。
 市では、各アラートが発表された場合、防災行政無線広報や市公式SNSで周知するほか、市内各地で開催される介護予防事業等は中止とする。スポーツ活動などにも注意を喚起する。
 アラート発表にかかわらず、外出時に一休みするなど、気軽に利用できる場所として、新たに「涼み処」を指定した。市民らの来訪が多く見込まれる市街地を中心に、冷房設備を備え、10人以上がいす等などで一休みできる施設を選んだ。
 このうち、盛町のリアスホールでは、館内気温は25度前後、湿度60%前後を維持。レストランスペースは先月からフリースペースとして開放しており、高校生の学習や、地域住民らの懇談で利用が広がる。テーブル12卓に加え、カウンター席もあり、利用無料。事前申し込みは不要だが、利用する際は2階の総合窓口での利用手続きが必要となる。
 市市民生活部の安居清隆部長は「指定する基準をより明確にし、利用する方の声も聞きながら、さらに増やしていきたい」と、今後を見据える。
 市はさらに、すでに協定を締結している、いわて生活協同組合とヤマト運輸㈱岩手主管支店、大船渡郵便局、日本郵便㈱東北支社、明治安田生命保険相互会社岩手南支社、第一生命保険㈱盛岡支社、佐川急便㈱北東北支店に見守り活動を要請。健康づくり推進員、民生委員・児童委員には地域住民への注意喚起の協力を求める。
 市保健福祉部の佐々木義和部長は「日頃接している中で、異変に気づいた場合は、市に連絡してもらう。法改正の内容も含めて、同じ認識で予防対策を進めるようにしたい」と語る。
 また、市は「学校における熱中症対策ガイドライン」も策定し、各校に周知した。市広報やFMねまらいんによる熱中症予防の周知も進める。
 指定施設の情報は別掲の通り。


「クールシェア」の取り組み展開/理容組合気仙支部

 

理容組合気仙支部加盟店は「クールシェア」の取り組みを展開=大船渡市

 気仙地区内の44理容店が加盟する県理容生活衛生同業組合気仙支部(佐々木俊夫支部長)は、熱中症予防へ来店客以外も店舗に受け入れ涼んでもらう「クールシェア」の取り組みを展開しており、活用を呼びかけている。
 この取り組みは、全国理容生活衛生同業組合連合会が推進する「バーバーサロン COOL SHARE」の一環。高温が続き、熱中症の予防が求められる中、社会安全事業として地域に貢献しようと展開している。
 各店では「子ども・高齢者の熱中症防止サロン」としたステッカーを掲示。店内や涼しい場所へ案内して休憩してもらったり、水分を補給してもらったりと、駆け込んだ人が一息ついて体を休めることができる環境を提供する。
 佐々木支部長(70)は「今年はすでに真夏のような暑さ。地域の理容店として、熱中症予防の観点からも皆さんのお役に立てれば」と話している。