大規模災害への備え学ぶ 愛知県在住の宮崎さん一家 「ラーケーション」で気仙訪問

▲ ラーケーション制度で気仙を訪れている宮崎さん一家=住田町世田米

 近年、全国各地で自然災害が頻発する中、「日頃からどうやって備えていくべきかを学びたい」と、愛知県在住の一家が11日から14日までの日程で気仙を訪問している。昨年度に同県が導入した、こどもの学び(ラーニング)と、保護者の休暇(バケーション)を組み合わせた学校外での学習活動「ラーケーションの日」を活用しての来訪で、2市1町を巡りながら、災害発生時の対応、復興までの過程など東日本大震災の教訓を学ぶことで、大規模災害に備える。(清水辰彦)

 

 「ラーケーション」は、子どもが保護者と体験活動などをすることで、平日に学校を休んでも欠席扱いにならない制度。大人の「休み方改革」を進める愛知県が先行し、親子の触れあいや学校外での学びなどの観点から、各地で広がりをみせている。
 この制度を活用して気仙を訪問しているのが、愛知県刈谷市の会社員・宮崎正旭さん(37)と妻・佑梨江さん(34)、息子の光祐さん(6)と正悟ちゃん(4)の4人。
 宮崎さんは昨年、住田町を舞台に行われた「ラーニングワーケーション」に参加。学習(ラーニング)と休暇(バケーション)の要素を兼ね備えた働き方(ワーク)で企業と地域がつながり、住田ならではの体験を深めた。その縁もあって、「震災の学びを」と、今回の訪問先として気仙を選んだ。
 今後30年以内の発生率が70%~80%とされている南海トラフ地震。国による最大クラスの被害想定によれば、巨大地震が発生すると静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると指摘されている。関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10㍍を超える大津波の襲来も想定される。
 宮崎さん一家が暮らす刈谷市では最大震度7の地震も予測され、津波や液状化、家屋倒壊といった被害の恐れがある。
 「全国各地で地震が発生しているので、いつかは自分たちの住む所にも来るという不安がある」と宮崎さん。地震発生時の初動対応、その後の生活、復興までの歩み──。それらを事前に学んでおくことで、いざという時に備えようというのが、今回の訪問の目的だ。
 11日から3泊4日の日程で滞在し、12日には陸前高田市の東日本大震災津波伝承館、住田町世田米の応急仮設住宅団地の跡地に整備されたイコウェルすみたなどを見学した。
 宮崎さんは、「子どもたちが大きくなった時に、ここで学んだことを覚えていてくれたら」と備えの継承も見据える。
 佑梨江さんは「皆さんがどうやって震災を乗り越えたのか、住民同士でどのように協力してきたのかも学べれば」と、災害時に重要となる「共助」への学びも深めたいとしている。