高田松原海水浴場 ブルーフラッグお披露目 安全で美しいビーチ発信 現地で式典、きょう遊泳解禁(別写真あり)
令和6年7月13日付 1面

安全で美しい海として認められ、5月に国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した陸前高田市の高田松原海水浴場で12日、同フラッグ公式旗のお披露目式が行われた。取得は県内初めて。東日本大震災からの再生工事を経て令和3年に復活を遂げた同海水浴場が、世界基準のビーチとして認定され、地元関係者はこの認証を追い風に、マリンアクティビティーや多彩なイベントなどを打ち出して誘客を図っていく。同日は高田松原と広田(広田町)の両海水浴場の海開き式があり、ともに13日から遊泳可能となる。(高橋 信、2面に関連記事)
式典には関係者約20人が出席。担当者が青色の公式旗(縦1・45㍍、横2・25㍍)を広げて披露すると温かな拍手が響いた。
ブルーフラッグのマークや文字がプリントされたポロシャツ姿で臨んだ佐々木拓市長は「日本ブルーフラッグ協会をはじめたくさんの関係者の指導・協力のもと取得することができた」と喜び、「期間中はこのブルーフラッグの下、親子や障害のある人らを対象とする海水浴体験会などを実施していく。期間中の安全・安心な運営を祈念する」と期待を寄せた。
同フラッグは、デンマークに本部がある国際NGO「国際環境教育基金(FEE)」がビーチやマリーナ、観光用ボートを対象に実施する制度。ビーチは▽水質▽環境マネジメント▽環境教育と情報▽安全性とサービス──の4分野33項目の基準を満たせば認定される。
市などによると、5月現在、世界51カ国、5121カ所が取得している。国内では14カ所あり、震災の被災3県でみると、高田松原は宮城県内の3海水浴場に次ぐ4カ所目となった。
白砂青松の景勝地として知られる高田松原。以前の砂浜は震災でほぼ消失し、背後にあった約7万本の松林は奇跡の一本松のみを残してなぎ倒された。県が砂を敷き詰めるなどして砂浜が再生され、令和3年、11年ぶりとなる海開きを迎えた。
市は4年度から、高田松原の海洋資源を生かして集客を図ろうと、ブルーツーリズムを推進。この一環でブルーフラッグの取得を目指し、水質調査に乗り出したほか、車いすが通れるよう砂浜に敷くビーチマットや水陸両用の車いすを導入した。
また同年度から、手ぶらでバーベキューを楽しめるエリア、ビーチパラソルが置かれたテーブル席やビーチベッドでくつろげる休憩エリアなどを海水浴場内に新設。今夏はフォトスポットを新たに加え、休憩用テーブルも増設した。ブルーフラッグ取得を誘客の起爆剤とし、高田松原の魅力を内外に伝えるとともに、海水浴客を市街地などに呼び込むイベントも多彩に展開していく。
お披露目式に駆けつけた日本ブルーフラッグ協会の片山清宏代表理事は「20回の水質調査をすべてクリアし、さらに安全・安心な海としての対策も本部デンマークから高く評価された。子どもらを含む地元の人たちに、世界に認められたビーチがあるということを誇りに思ってほしい。このフラッグを日本中、世界にアピールして陸前高田の復興、発展のシンボルとして活用してほしい」と願った。
熊谷会長は「当市の宝である高田松原の環境を守ろうと、地元団体、市民の力で美しい砂浜が保たれてきたことがフラッグ取得の一つの要因となった。県内外から多くの人に来てもらい、高田松原のにぎわいから地域活性化を進めたい」と意気込む。
高田松原、広田の両海水浴場の開設期間は、13日から8月18日(日)まで。