海岸の利活用へ住民動く 吉浜で「復活大作戦」(別写真あり)

▲ 吉浜海岸で〝宝探し〟を楽しむ子どもたち

 大船渡市三陸町吉浜の吉浜まちづくり振興会(新沼秀人会長)は14日、子どもたちが同地域に残りたいと思える記憶をつくろうと、「吉浜海岸復活大作戦」を展開した。海岸の清掃を行ったほか、子どもたちが〝宝探し〟を楽しむなど、海水浴場開設の見合わせが続く中での利活用へ向け、住民が力を合わせた。
 この取り組みは、世代を超えた住民同士の交流を図り、子どもが地域に対する愛着を育む狙いとともに、地区内外の人に吉浜の良さを伝えるため、がれき撤去業者の協力も受けて初めて開催した。
 この日は大人から子どもまで、吉浜地区の住民約90人が参加した。はじめに、全員で海岸を清掃。ごみ、草、石などを拾い集め、美化を図った。
 その後は子どもを対象に景品付きの〝宝探し〟を実施。子どもたちは、砂浜に埋めたくじの入った袋を探して一斉に周囲を掘り進めた。残った袋を探すため、途中からは大人も加わりだし、住民そろって砂遊びを楽しんでいた。
 吉浜海岸は市を代表する海水浴場として、平成22年の入込数が1万人を超すなど、にぎわいを創出していた。一方で、震災以降は石の露出や海中がれきが確認され、海水浴場の開設は令和元年から見合わせが続いている。
 こうした中、住民らは令和4年から地域づくりについてのワークショップを開き、今年4月には自治組織である同振興会が発足。人口減少や高齢化問題に加え、海岸の利活用の可能性を考えてきた。
 今回の宝探しを起点に、同振興会は吉浜海岸を「安全に砂遊びができる海岸」として、新たな利用価値を探る。
 参加した大船渡一中の中井よし華さん(3年)は、過去に海水浴場が開かれた時のことを「石がいっぱいあって痛かったのを覚えている。それでも海水浴場が開いた時はとてもうれしかった」と話す。浅沼凜花さん(同)は地域外から吉浜を訪れる人に向け「海岸のほかに、スネカ、剣舞、虎舞といった、いろいろな伝統芸能を見てほしい」とPRした。
 同振興会の新沼会長は「吉浜海岸はわれわれの自慢。なぎさがなんとか復活するよう祈りながら、みんなで砂浜に集っていきたい。来年もパワーアップして実施できるよう頑張る」と意欲を燃やしていた。