給付型奨学金の財源確保に向け新機軸 CF型ふるさと納税導入へ

 陸前高田市は、独自に導入した給付型奨学金制度の給付人数を増やすため、新たにクラウドファンディング(CF)型のふるさと納税に取り組む。同制度を打ち出した佐々木拓市長が明かした。8月2日(金)に運用を始める予定で、同時期に正式に発表する見通し。現在17人分の財源を確保している令和7年度の新規支給枠について、CFを取り入れることで最大30人分まで増やしたい考えで、市が推し進める人材育成策とその使途を全国にアピールし、共感の輪を広げながら寄付を募る構想だ。(高橋 信)

8月2日から寄付受け付け


 市によると、CF型のふるさと納税は、寄付金の使い道となる事業を具体的に明示し、「応援したい」と共感を得た人から寄付を募る仕組み。自治体が抱える特定の課題の解消を図るための手法で、寄付者は本来のふるさと納税と同様、原則返礼品を受け取ることができる。
 市は8月2日から一定期間、ふるさと納税のポータルサイトでCFを実施する計画。その後、7年度分の給付申し込みを受け付けるとみられる。目標とする30人に支給するには、あと4000万円程度が必要であり、この不足分をCFで確保したい考えだ。
 給付型奨学金制度は、佐々木市長が昨年2月の選挙公約で掲げた人材育成策の一つで、5年度に創設した。
 対象は、経済的な理由で修学が困難な市出身の大学生や専門学校生ら。20万円の入学一時金と、月額3万円の奨学金を年3回に分けて12万円ずつ(4カ月分)給付する。
 給付期間は、正規の就学期間(短大は2年、大学は4年、または6年など)とする。例えば4年制大学の学生であれば、4年間の受給額は計164万円となる。
 給付初年度となる6年度分は20人に支給しており、費用はすべて一般財源を充てている。
 7年度以降は一般財源で年間10人を支援するほか、さらに上乗せ分として、ふるさと納税の寄付金も財源に加え、寄付額に応じて給付人数を増やすこととした。
 市が設定しているふるさと納税寄付金の使い道は子育て支援や産業振興など10分野あり、このうち、給付型奨学金は6月までに7人分を支援できる寄付(約2300万円)を集めた。
 これにより、7年度分は新規で17人に給付できる予算を確保した中、市はさらに給付人数を増やすため、ふるさと納税の使い道を前面に押し出すことができ「CF型」を取り入れる方針を固めた。
 佐々木市長は「7年度分に関しては、CFを実施することでまずは計20人分の財源を確保したい。さらに30人まで伸ばしたいと思っている。運用後は関係機関と連携し、PRしていく」と話した。
 一般的なふるさと納税とCF型の寄付の流れ(イメージ)は別掲。