もっと近く 内陸と沿岸  国道107号整備促進・高規格化実現期成同盟会 初の決起大会に584人集結(別写真あり)

▲ 早期整備に向けてガンバローを三唱する出席者たち

 一般国道107号(大船渡・遠野間)整備促進と大船渡内陸道路(仮称)高規格化実現に向けた初の決起大会が21日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。沿線自治体や内陸市の各首長をはじめ、市内外から584人が集結。同市と住田町境で計画されている新白石トンネルの早期着工などを求め「もっと近く 内陸と沿岸」を合言葉に早期整備への熱い思いを発信した。(佐藤 壮)


 決起大会は大船渡市や住田町、遠野市をはじめ行政や議会、商工会議所、各種産業団体などで構成する期成同盟会(会長・渕上清大船渡市長)が主催。沿線地域のさらなる発展、地域連携、多様な交流促進など、路線の果たす役割に理解を深めるとともに、整備の必要性を広くアピールし、早期着工・事業化に向けた機運醸成を図ろうと初めて開催した。
 構成団体をはじめ、大船渡市内の事業所関係者のほか、市外からの出席も目立った。「もっと近く 内陸と沿岸」をアピールしようと、会場には沿線に咲くフジの花をイメージした薄紫色ののぼりが並んだほか、出席者には缶バッジもプレゼントされた。
 冒頭、渕上市長が「沿線地域にとっては、この道路整備は宿願。持続可能な地域づくりに欠かすことができない」とあいさつ。
 引き続き、鈴木俊一財務大臣、達増拓也知事(代読・八重樫幸治副知事)、藤原崇衆議院議員、横沢高徳、広瀬めぐみ両参議院議員、西村拓国土交通省東北地方整備局長がそれぞれ祝辞。このうち、鈴木大臣は「まずは白石峠区間の一日も早い着工を。規格の高いトンネルで整備したい。地域選出の議員として最大限の努力をする」と述べた。
 講演では「岩手県南における道づくり」と題して、同局の木村康博道路部長が講師を務めた。この中で、都市間連絡速度の変化に言及し、復興道路・復興支援道路開通により、沿岸の南北路線や釜石~北上は時速80㌔前後に改善した一方、大船渡~北上は同60㌔未満にとどまる状況などを挙げた。
 市長・町長メッセージでは、渕上市長に加え、神田謙一住田町長、佐々木拓陸前高田市長、八重樫浩文北上市長、多田一彦遠野市長、倉成淳奥州市長、松田英基花巻市副市長が並んだ。それぞれ、気仙の活性化だけでなく、内陸市にある工業団地と大船渡港をスムーズに結ぶことでのさらなる産業振興などに期待を込めた。
 決議では▽107号白石峠区間改良整備の早期着工、大船渡内陸道路の高規格化早期実現、未改良区間の早期事業化を図る▽地域経済の活性化、人・物の円滑な流れの確保に向け、重要物流道路や生産拠点、物流拠点のネットワークを中心に重点整備を行う▽安全運行、災害時の地域間輸送、救急病院への確実な搬送確保などで重要であり、採算性や効率性のみに偏重せず、予算確保を図る▽能登半島地震などを踏まえ、国土強靭化実施中期計画を速やかに策定し、必要な予算を別枠で確保する──を採択。
 宣言文は、けせんロードネット女性の会の金野ヨシ子会長が読み上げたほか、ステージには各首長が並び、来賓の国会議員らに手渡した。大船渡商工会議所の米谷春夫会頭は「孫子の代に光り輝く未来を」と力を込め、出席者全員でガンバローを三唱した。
 総会に先立ち開催された期成同盟会の令和6年度総会では、本年度の事業計画などを原案通り決定。県大船渡土木センターの吉田健一所長は、107号における事業実施状況を示し、白石峠区間は本年度、地質調査に加え、トンネルと道路などの各詳細設計を進める計画を示した。
 また、渕上市長は、奥州市や花巻市、奥州、北上、花巻の各商工会議所が新たに期成同盟会に入会したことに触れ、「賛同者が増えて弾みがつく。秋田県側のつながりも含め、横の連携を深めて事業を強化したい」と呼びかけた。
 22日には、渕上市長や神田町長らが県に対して白石峠区間の早期着工や高規格化の早期実現などに関するを要望書を提出。8月5日(月)には、東北地方整備局にも同様の要望活動を行うことにしている。
 大船渡市盛町の権現堂交差点から釜石自動車道宮守インターチェンジ間の約43㌔は、白石峠や荷沢峠など、急カーブや急勾配が続き、安全で安心な通行を阻害する要因が多い。救急搬送や精密機器輸送は路面状況に左右されやすく、冬期間は自動車事故も多い。
 令和4年度、県は新たなトンネル整備を含む全長2・7㌔の白石峠区間が事業化。高規格化に関しては3年6月、県が策定した新広域交通計画で現在の国道107号に重なる形で構想路線・大船渡内陸道路が搭載された。高規格道は、おおむね時速60㌔以上の速度サービス提供を求める。