七夕ロードに山車集結へ 8月7日の「うごく七夕」 参加9祭組で初の試み

▲ 行事当日に山車が集結する予定の七夕ロード

 陸前高田市高田町の夏の伝統行事「うごく七夕」は、8月7日(水)に開かれる。今年は昼と夜の各部で、アバッセたかた前を通る七夕ロードに参加祭組のすべての山車が集結する時間帯が設けられる予定。初となる試みで、多くの来場客に行事の魅力を発信する〝見せ場〟となるよう、実行委員会(石川宏会長)や各祭組が調整を図っている。(阿部仁志)

 

 実行委によると、今年は10ある祭組のうち、8祭組が昼の部(午前9時~正午)、9祭組が夜の部(午後5時~9時)に山車を運行する見込み。
 このうち、昼の午前10時45分~11時30分と、夜の午後6時45分~7時30分の時間帯は、「七夕ロード」と呼ばれる、まちなか広場前やアバッセたかた前を通る約300㍍の直線区間に山車が集結し、運行を行う予定。豪華絢爛な飾りを施した山車がまちなかを彩り、威勢の良い祭りばやしを響かせる。
 うごく七夕は、盆の先祖供養のために江戸時代に始まったとされる。
 東日本大震災前は、12の祭組が山車を用意し、それぞれの地区を練り歩いたあと、旧JR陸前高田駅前から山側に伸びる「駅通り」に集まるのが恒例だった。
 平成23年は、大津波で駅通りを含む市街地が壊滅的な被害を受けたが、多方面から支援を受けて当時の高田小学校グラウンドを会場に開催。24年から28年にかけては、かさ上げをはじめとする復旧・復興工事が続いた中、各祭組が市街地や各地区で山車を運行して伝統をつないだ。
 29年からは、かさ上げ地に造成された新市街地一帯で行事を開催。震災前の駅通りのように山車が集結することをイメージした七夕ロードが整備され、各地区から集まる山車の運行ルートとして定着した。
 令和2、3年は、新型コロナウイルス禍の影響により実行委が開催を断念。人口減少や高齢化といった地域課題も重くのしかかる中、「先祖供養の伝統を守ろう」と、4年は7祭組の山車運行で行事が復活した。昨年は9祭組の山車の運行が実現し、まちなかに活気が戻った。
 今年は初めて、各祭組の山車が七夕ロードに集まる時間帯を設定。山車は、昨年まで祭組それぞれのスケジュールで運行していたため、観衆から「いつ、どこで見られるか」といった質問が本部に多く寄せられていたという。
 七夕ロードに集まる山車の運行スケジュールは、8月1日(木)に市内で開く実行委で最終決定する。石川会長は「コロナ禍の期間は、行事ができるかどうかというレベルでの話し合いとなり、山車を集結させるというところまで頭が回っていなかった。今年は時間を設定することで、より多くの人をまちなかに呼び込み、うごく七夕の魅力を存分に味わってもらいたい」と意気込む。

 

和太鼓仲間からはんてんの寄贈 鳴石祭組が感謝

 

はんてん寄贈に感謝する鳴石町内会関係者ら

 神奈川県川崎市の和太鼓団体「りんぐ」で代表を務める山本節子さん(73)=東京都=はこのほど、東日本大震災後から交流のある陸前高田市高田町の鳴石町内会(大森俊一会長)と氷上共鳴会(鈴木武幸会長)に、同市の伝統行事「うごく七夕」の山車のイラストをあしらったはんてん計15着を寄贈した。鳴石祭組の山車の特徴を捉えた色鮮やかなイラストが映え、関係者が感謝を伝えている。
 山本さんは、平成23年の震災後、りんぐを含む関東圏の和太鼓仲間と共に毎年陸前高田市を訪れ、支援活動を展開。川崎市では、令和4年まで開かれたイベント「PLAY for JAPAN 和太鼓でつながろう!震災復興をめざすコンサート」に参加し、被災地復興を応援してきた。
 この中で、山本さんは氷上共鳴会や鳴石町内会とつながり、コンサート参加メンバーらと交流。氷上共鳴会が地元の芸能をモチーフに創作した『七夕まつりばやし』を教わったり、陸前高田市のうごく七夕に参加するなど縁を深めてきた。
 はんてんは、同コンサートの最終回に合わせ、「陸前高田の風景を思い出せる衣装を着よう」という参加者らの思いを受け、山本さんが発案したものという。
 今年5月、山本さんら和太鼓仲間や氷上共鳴会が参加するジョイントコンサートが高田町の市コミュニティホールで開かれ、はんてんを披露。その際に鈴木会長ら鳴石の関係者が大いに喜んだことを受け、「活用してほしい」と願うメンバーらからはんてんを集め、今回寄贈するに至った。
 贈られたはんてんはMとLの2サイズ。鳴石町内会が10着を、氷上共鳴会が5着をそれぞれ受け取った。
 鳴石祭組は、22日夜からはやしの練習や山車に飾るみす作りなどが本格化。うごく七夕当日は、山車の引き手や役職を持つ人がはんてんを着る予定という。
 山本さんは「和太鼓のメンバーは、今も陸前高田に強い思いを寄せている。これからもつながりを大事にしたい」と語る。
 大森会長(77)は「大変ありがたい贈り物。うごく七夕ではこのはんてんを着て、昨年よりパワーアップした姿を見せたい」と意気込む。