若者の地元定着 何から取り組む 高校生と事業所が意見交換へ 8、9月にワークショップ 「魅力ある企業」価値観すりあわせ

▲ 「どうしたら若者にとって魅力的な大船渡、魅力的な企業をつくれるか」を大テーマに、8月から市民参加型ワークショップを開催

 【一部既報】大船渡市は8、9月に計3回、市民参加型ワークショップ「おおふなと市民ミーティング」を開催する。初回は高校生を中心とした若者が「どうしたら地元で働きたいと思えるか」を語らい、2回目は市内の企業経営者や社員らが「若い世代に魅力を感じてもらえる職場とは」について意見交換。3回目は、過去2回のワークショップを踏まえて両者がお互いの考えをぶつけ合い、若者の地元定着に必要となる「アクション」をともに探る。市と、運営事業者である認定NPO法人インクルいわては、各回の主な募集対象者に限らず、男女共同参画や「誘引力がある地域づくり」に関心がある市民の気軽な参加を募りたいとする。参加費無料。      (鈴木英里)


 開催日と会場、各回のテーマは、①8月9日(金)・おおふなぽーと、「働き方、地元で暮らしていくことなどについて」②9月3日(火)・同、「若い世代の雇用、人材育成などについて」③9月21日(土)・リアスホールマルチスペース、「若い世代と地元企業との意見交換」——となっている。実施時間はいずれも午後1時30分~3時30分とする。
 基本的には、①が高校生と一般、②が大船渡市内にある企業・団体の役員や従業員、③が第1回と第2回の参加者とし、各回30人程度を募るが、対象外の人でも「高校生の意見を聞いてみたい」「企業人ではないが、若者が地元に戻ってこられるよう、こんな活動をしては」など、興味があればどの回でも参加可能。
 本年度のミーティングの狙いは、止まらない人口減と人口流出が深刻な課題となる中、地元の企業に対し、既存の働き方や古い固定観念を見直すきっかけを提供すること。
 ファシリテーターを務めるインクルいわて理事長の山屋理恵さんは、「今の若い世代は企業を選ぶ時も、ハラスメントや多様性に関する研修が行われているかなどを重視する傾向がある。『男はこうで、女はこうあるべき』といった意識が強い企業やコミュニティーからは、人が離れていきやすいことも分かっている」とし、こうした取り組みを軽視することは今後、企業と地域にとって致命傷になると指摘する。
 現代の若年層はすでに小さいころからジェンダーギャップ(男女格差)や、LGBTQといった多様性について学び、そうした感覚を学生の間に内面化している一方、社会に出た途端、企業や地域には依然として「男女別役割分担意識」や「無意識の偏見」が根強く残っていることを知って幻滅し、1~2年で離職してしまうことが多いという。
 それを踏まえ、山屋さんは「企業が変わることは、地域が変わることだと実感してほしい。このままでは若い人がいなくなるという危機感を共有し、まずはどんなアクションを起こせるか、若い世代と一緒に考えていただければ」と、地元企業の積極的な参加を呼びかける。また、事業所内の若い社員・職員や、親子での参加なども歓迎する。
 参加の申し込みは、応募フォーム(別掲QRコード)にアクセスして必要事項を記入するか、電話(080・2827・3213、平日午前10時~午後4時)で受け付ける。事業に関する問い合わせは、インクルいわて(℡019・626・6061)まで。
 同会議は第5次大船渡市男女共同参画行動計画に基づく取り組みで、昨年度に続く2回目の開催。すべての人が暮らしやすいまちを目指して活発に話し合う「場」をつくることで、多様な世代の住民や団体をつなぎ、実践的な取り組みへ結びつけようという狙いがある。また、3回のワークショップで話し合われた内容は、市の男女共同参画推進にも生かされる。