サンマ大型船 出港前倒し 公海解禁日早まり「出船式」8月8日に 大船渡港  昨年超えの実績願い準備本格化へ

▲ 大船渡港に係留されている大型サンマ船。出漁準備が本格化する

 大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する大型サンマ漁船6隻の出港を見送る「出船式」が8月8日(木)午前11時から、大船渡町の同市魚市場で開かれる。大型船の出漁解禁はこれまで8月20日だったが、今年は公海操業に限って試験的に同10日となったため、昨年よりも早めた。港内では今後、出漁に向けた艤装作業が本格化。数量・金額ともに本州一の座を誇る大船渡の関係者は、昨年を上回る実績を目指して準備を進める。(佐藤 壮)

 

 出船式は例年、大漁と航海の安全を祈願し、北海道に向かう出港前に開催。199㌧の三笠丸船団6隻がずらりと並び、カラーテープをなびかせ、華やかな雰囲気に包まれる。
 8月17日だった昨年に比べ、今年の出船式は9日早い。大型船は例年、公海を主漁場としており、解禁日が早まったことから前倒しとなった。
 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は昨年まで、サンマ漁の解禁日を20㌧未満の小型船が8月10日、100㌧未満の中型船は同15日、200㌧未満の大型船は同20日としていたが、今年から公海に限定して10日に統一。近年、主漁場となっている公海では早くから外国船が操業し、11月に入るとしけの影響を受けやすくなる状況などを考慮したという。
 全さんまでは「『もっと解禁を早く』という声もある半面、『今まで通りでいい』『遅くてもいい』という意見もある。試しにやってみる形であり、今年の状況を見て、来年の対応を考えることになる」としている。
 全さんまによると、昨年における全国の総水揚げ数量は、過去最低だった前年同期を36%上回る2万4433㌧。金額は2%少ない101億1702万円だった。1㌔当たりの単価は414・1円で、前年同期を28%(162円)下回った。
 大船渡市魚市場の水揚げは、数量が前年同期比27%増の3877㌧で、金額は同7%減の18億5419万円。三陸海域での漁獲など好材料もあった一方、全国と同様に単価は伸び悩んだ。低水準の中でも、数量、金額とも本州トップ、数量は本州全体の4割超えを維持した。
 鎌田水産は今年も、大船渡での水揚げが中心となる見通しで、近く、集魚灯の設置作業といった艤装が本格化する。現段階では8月24日(土)までの初水揚げを目指す。鎌田社長は「出てみないと分からないが、昨年よりも少しでも多い水揚げとなれば」と話す。