夏の風物詩 活気呼ぶ ──陸前高田で二大七夕(動画、別写真あり)

▲ 新調したかじ棒をつけた山車2台をぶつけ合った

 陸前高田市高田町の「うごく七夕」と気仙町今泉地区の「けんか七夕」は、7日に開かれた。地域が誇る同市の夏の風物詩で、東日本大震災後も新型コロナウイルス禍の期間を除いて開催されてきた。地元住民や帰省者に加え、スーパーマーケット大手㈱カスミ(本社・茨城県つくば市)の新入社員らボランティアも参加し、多くの人々が年に一度の七夕を楽しんだ。(阿部仁志、高橋 信)

 

新調したかじ棒で激突 気仙町・けんか七夕

 

 けんか七夕を手掛ける祭り保存連合会(佐々木冨寿夫会長)は今年、山車2台にそれぞれ取り付ける長さ約15㍍のスギの丸太「かじ棒」を新調。昼と夜に山車同士をぶつけ合う「けんか」を繰り広げ、多くの見物客を魅了した。
 午前中には新しいかじ棒をつけた山車同士を安全にぶつけられるか確かめるため、例年はない「けんか」の〝練習〟を行った。地元の子どもたちに祭り文化を伝える機会にもしようと、山車には気仙小5、6年生を乗せ、山車から伸びるかじ棒がぴったりと交差するよう慎重に位置を調整したうえ、軽くぶつけた。
 同校6年の菅野杏さんは「ぶつかったときの衝撃がすごかった。とても楽しい祭りで、これからもずっと続いてほしい」と話した。
 アザフで彩られた山車は震災後整備された高台を含め、地区一帯を練り歩いた。「よーい、よい」という引き手のかけ声と、太鼓と笛の音が響き渡り、にぎやかな七夕ならではの雰囲気に包まれた。地区コミュニティセンターでは気仙保育所の年長児による太鼓演奏も行われた。
 八日町組の組頭を務めた大谷一真さん(24)は「役割の責任を感じ、うれしさと同時に緊張もある。みんながけがなく、楽しめるように任された仕事をなんとかやりきりたい」と額に汗を浮かべながら語った。
 山車頭の平野晃さん(44)は「とにかく『事故なく安全に』を徹底したい。子どもたちの体験の場面がたくさんあり、こうして次の世代につながればいい」と、ほほ笑んだ。
 佐々木会長(71)は「無事開催することができてホッとしている。カスミの方々にも応援していただき、大変感謝だ。運営に当たる若手も熱心で頼りになる。一つ一つ勉強しながら引き継いでほしい」と話した。