移住体験住宅の運用開始、検討者向けに民間賃貸アパート借り上げ、暮らしや仕事に触れる拠点に
令和6年8月9日付 7面

大船渡市は、移住検討者が一定期間、市内の暮らしや仕事を体験できるよう、市街地に近い大船渡町内の民間賃貸アパートを借り上げ、移住体験住宅として運用を開始した。寝具や電化製品等を備え、複数での短期滞在も可能。市内の暮らしや仕事に触れながら、段階的に移住への意欲や関心を高める機会づくりとしての活用に期待を込める。(佐藤 壮)
市が移住体験住宅として運用を始めたのは、大船渡町新田地内の民間賃貸アパート。木造2階建ての2階にあり、間取りは2K。徒歩5分圏内にJR大船渡線BRT地ノ森駅や、コンビニエンスストアがある。同町、盛町の市街地や商業施設にも足を運びやすい。
住宅内には、冷蔵庫や炊飯器、電子レンジ、全自動洗濯機、掃除機、エアコン、ガスコンロ、布団などを用意。食器やフライパン、鍋、掃除用具もある。無線LANに関しては、モバイル型のルーターを貸し出す。
利用対象者は▽大船渡市への移住を検討し、移住相談をしたことがあるか、移住体験住宅利用期間中に移住相談をする人▽市内で、市や県等が主催する移住関連イベントに参加する▽市内で就業体験を行う▽就職活動の一環として、市内での職場見学、説明会、採用試験、面接等に参加する──としている。
夫婦や子育て世帯の利用も可能。すでに、就業体験で訪れる3人の申し込みがある。
1回の申請で2日~45日の滞在が可能。同じ申請者の場合、60日に達するまでは複数回利用できる。
市ホームページで利用予定の状況を確認し、大船渡市移住コーディネーターのメールアドレス(ofu_ijuu@city.ofunato.iwate.jp)に連絡。「利用可能」との連絡を受けた後、申請者は利用申請書を作成し、利用予定者全員の顔写真付き身分証明書の写しを添付して市に提出する。
利用料金は無料。光熱水費の実費相当額として、利用人数によらず、利用1日当たり1000円を事前に納付する。
市は移住・定住の促進に向け、移住コーディネーターを配置し、仕事や住まい、生活などといった移住関連の情報にアクセスできる環境整備や相談体制充実を進めてきた。一方、明確な移住意向がある人を除く一般的な移住検討者にとって、すぐに決めるのは難しく、訪問や短期滞在など段階を踏みながら判断を固められる環境づくりも求められている。
市移住コーディネーターの村上空さん(26)は「移住は人生にとって大きな決断。日常の雰囲気を感じながら、居住したイメージを膨らませることができる」、大矢佳菜子さん(33)は「市街地にも近く、2~3人での滞在にも対応できる。気軽に利用してもらえれば」とそれぞれ話し、期待を込める。
問い合わせは市企画調整課(℡27・3111)へ。