新事業展開の担い手に 地域おこし協力隊員 一挙に24人募集 民間企業や法人など「団体委託型」
令和6年8月10日付 1面
大船渡市は本年度新たな取り組みとして、地域おこし協力隊の「団体委託型」を導入し、隊員募集を始めた。地域活性化や課題解決につながる新事業の提案を受けたところ、市内15事業者が名乗りを上げた。募集人員は24人で、従前に比べて大幅増となっている。新たな人材確保による積極的な事業展開に加え、大船渡を拠点とする隊員の居住サポートの充実など、市や民間事業所の今後の取り組みが注目される。(佐藤 壮)
地域おこし協力隊制度は、都市部から地方に住民票を異動し、生活の拠点を移した移住者らに市などが委嘱。隊員は原則1~3年間その地域に居住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR、農林水産業への従事、生活支援など多様な分野の活動を行いながら定住・定着を図る。
市は平成28年度から活用し、通算14人に委嘱。これまでは、市があらかじめ具体的なプロジェクトを掲げ、目的や活動内容を示し、隊員を募集してきた。現在は3人が活動している。
任用形態は、市の会計年度任用職員となる「雇用型」と、隊員個人と委託契約を締結する「個人事業主型」のみだった。本年度、受け入れる事業者が雇用した職員らを隊員として委嘱する「団体委託型」を導入した。
市は受け入れ事業者を募集したところ、16者が応募。その後、1者が辞退したが、審査では残る15者を選定。各事業者のプロジェクトを市ホームページで公開し、募集を始めた。
新規出店、新事業展開に伴う新たな取り組みを担う人材の募集に加え、地域貢献や課題解決を見据えた呼びかけも目立つ。東日本大震災からの復旧・復興事業が収束し、新型コロナウイルスの影響が落ち着いた中、持続可能なまちづくりを見据え、観光分野をはじめ独自性を意識した活動に踏み切る事業所の姿勢もうかがえる。
一挙に24人を募集するため、市だけでの周知ではPRに限界がある中、各事業所もSNSなどで積極的なアピールを始めた。
各プロジェクトとも、申し込みは9月5日(木)まで。応募が募集隊員数に達しない場合、受付期間を延長し、随時選考を行い、採用が決定次第、募集を終了する。最短で10月からの活動開始を見据える。
プロジェクトごとに定員を上回る応募数となった場合、定員に達していない他プロジェクトに調整する可能性もあるという。「大船渡で活動したい」といった志望にも柔軟に対応することにしている。
対象は20歳以上。委嘱後は市内に生活拠点を移し、住民票を異動する。▽三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)の都市地域等に現住所がある▽他の市町村で地域おこし協力隊経験がある(同一地域における活動2年以上、かつ、解嘱後1年以内)▽語学指導等を行う外国青年招致事業の終了者(活動2年以上でプログラム終了日から1年以内)──などを要件としている。
市から受け入れ事業者に支払う委託料は、隊員1人当たり年額520万円を上限とする。この財源は全て、交付税措置を受ける見込み。隊員の活動期間は原則1年以内とし、3年を限度として期間を更新できる。
市では地元企業の新規事業、事業拡大に加え、移住の促進・定着も見据える。任期終了後の定着率は全国平均が7割程度なのに対し、市内では5割を下回る。コミュニティーや居住面のサポートも重要になる中、さまざまな団体と連携・協力も視野に入れる。
申し込みに関する問い合わせは市企画調整課地域おこし協力隊受け入れ事業者募集担当(℡27・3111内線230)へ。募集している事業者とプロジェクト、人数は別掲。