亡き佐々木さんの絵 再掲 下矢作灯篭七夕の山車に 過去の作品使い追悼

▲ 今年の山車には佐々木さんが過去に手掛けた絵4枚を組み合わせて載せた

 陸前高田市矢作町下矢作地区で11日に開かれた下矢作灯篭七夕祭り(実行委、下矢作灯篭七夕伝承会主催)。運行された山車の側面には、7月に亡くなった同地区コミュニティ推進協議会前事務局長の佐々木倉雄さん(享年80)がこれまでに描いた山車の絵4枚を組み合わせ、再掲した。佐々木さんは約半世紀にわたって途絶えていた七夕の復活に尽力した一人で、長年、自治会を裏方として支えた。主催関係者は佐々木さんを悼みながら、後世に七夕文化を継承することを誓った。 (高橋 信)

 

山車の内部に飾られた佐々木さんの写真

 東日本大震災犠牲者を含む亡き人の「鎮魂」と風物詩の「伝承」を目的に、約50年の休止を経て平成27年に復活した下矢作灯篭七夕。山車の内部には再開に動いた立役者で、復活後亡くなった住民の写真が飾られている。
 その写真の並びに今年、4枚目としてにこやかに笑う佐々木さんが加わった。11日に行われた山車の出発式で、地区コミュニティ推進協議会会長で、祭り実行委の佐藤信一委員長が亡き4人の名前を紹介し、「この4人と一緒に地域を練り歩きたい。山車の絵をずっと描いてくれた倉雄さんの七夕への思いも受け継いでいこう」と呼びかけ、参加者全員で佐々木さんに対して黙とうをささげた。
 山車の側面には「倉雄さんベストセレクション」として、佐々木さんが過去に手掛けた4枚の絵を縮小して載せた。「佐々木さんの思いを次世代につなげよう」との願いも込め、もう片方は矢作小児童にアニメキャラクターの絵を描いてもらった。
 さらに今年は伝承の動きが、七夕を盛り上げるお囃子隊でもあった。祭りの演奏のため昨年結成した子どもたちのグループ「チームカラフル」のメンバーが、昨年からおよそ4倍の約20人に増加。山車運行の沿道などで力強い演奏を披露し、地域に笑顔を届けた。
 チームメンバーで、矢作小1年の村上侑磨さんは「みんなで演奏するととても楽しい。七夕はこれからもずっと続いてほしい」と力いっぱい太鼓をたたいた。
 佐々木さんは七夕復活時に、かつての演奏を知る立場として指導にも力を注いだ。七夕伝承会の藤倉泰治会長は「下矢作の七夕の生き字引のような人だった。参加する子どもが増えたことを心から喜んでいるだろう。笑顔で見守ってくれていると思う」とほほ笑んだ。
 佐藤委員長は「倉雄さんには長年コミセンの事務局長を務めていただき、七夕でも相談役として山車の絵制作や太鼓の演奏にずっと関わってくれた。地域への貢献は計り知れない。これからも七夕を下矢作の誇りとして続けていきたい」と決意を語った。