お盆に「被災地のいま」確認 高田松原津波復興祈念公園 県内外から多くの人

▲ 盆休みを利用し、世代を超えた人々が来園する高田松原津波復興祈念公園

 多くの企業などが盆休みを迎えている中、陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園には県内外から多数の人が訪れている。公園内を散策し、高田松原の海や奇跡の一本松などの震災遺構を間近にしたり、東日本大震災津波伝承館、道の駅「高田松原」に立ち寄る姿も多く、盆休みのひとときに「被災地のいま」を確認している。
 国、県、同市が一体となり、津波で被災した高田松原地区に整備された同公園。岩手沿岸観光のゲートウェイ(玄関口)として、各地から多くの人々が訪れる。
 台風5号の影響で、12日は国営追悼・祈念施設や東日本大震災津波伝承館、道の駅「高田松原」など全ての施設を臨時休業し、園内に植栽したマツ約270本が損傷する被害に遭ったが、13日には通常営業を再開した。
 14日の午前中は久々の好天に恵まれ、駐車場には県外ナンバーの車両が多く並んだ。家族連れなど小グループでの来園が目立ち、中には外国人旅行者の姿もあった。
 園内の「海を望む場」では震災の犠牲者らに手を合わせ、眼下に広がるマツの植栽地や復興が進むまちの様子を眺めた。震災遺構である奇跡の一本松や陸前高田ユースホステルなどにも立ち寄り、津波の威力なども感じ取っていた。
 津波伝承館にも世代を超えた来場があり、各地で大きな自然災害が頻発する中で改めて震災を知り、防災への意識を高めた。道の駅は、買い物や食事に訪れた観光客でにぎわいにあふれた。
 埼玉県寄居町の会社員・秋山空さん(22)は、関東圏に住む大学時代の後輩たちと4人で来園。「陸前高田に震災後整備された建造物を見たくて、初めて訪れた。入り口の水盤や海を望む場までの園路など、空間が津波への思いといったメッセージを訴えているように感じた。海岸に植えられた多くのマツも印象的で、来てよかったと思う」と話していた。

 

奇跡の一本松暴風対策で養生

暴風対策用のワイヤが取り付けられている奇跡の一本松

 同公園内にある奇跡の一本松は現在、幹に4本のワイヤをかけて養生を行っている。台風の接近に伴う暴風対策として講じたもので、今月下旬頃まで行う予定。
 一本松の養生は、同公園の国営追悼・祈念施設が台風5号の上陸を前にした9日に実施。建設業者が高所作業車などを使い、高さ27・5㍍ある一本松の幹に長さ18~19㍍のワイヤ4本をかけ、地面の専用台に接続した。
 同施設によると、一本松の養生を行ったのは令和元年10月の台風19号接近時以来で、台風5号による異常はみられなかったという。今後も台風の接近が予想されていることから養生は継続し、ワイヤの撤去作業は26日(月)以降を予定している。