「2人で納得のレースを」 大船渡市末崎町出身の寺澤光介さん パラリンピックトライアスロン 米岡選手(東京パラ銅メダリスト)のガイドで出場へ
令和6年8月16日付 7面

フランス・パリで行われる「パリ2024パラリンピック競技大会」は、現地時間の28日(日本時間29日)に開幕する。トライアスロン競技には、大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介さん(30)=サニーフィッシュ所属、東京都=が、日本代表選手の競技パートナーとして出場。男子PTVI(視覚障害クラス)で東京2020パラ銅メダリスト・米岡聡選手(38)=三井住友海上=のガイドを務め「自分たちが納得のいくパフォーマンスを出し切る」と2大会連続のメダル獲得へ向けて調整を進める。(菅野弘大)
全日本トライアスロン宮古島大会2連覇をはじめ、アイアンマンレース出場など、国内屈指のプロ選手として活躍する寺澤さん。米岡選手とのタッグは昨年、ガイドとして協力の打診があった。パリパラリンピックでのメダル獲得を目標に掲げるとともに、寺澤さん自身の競技力強化につなげる狙いもあり、同8月から正式に競技パートナーとなった。
今大会の日本代表については、対象レースでの成績を踏まえたランキングをもとに選手を選考。ランキングでの出場権獲得は逃したものの、推薦枠により代表入りが決まった。「うれしさもあるが、ほっとした気持ちが大きかった」と振り返る。
全盲の米岡選手のガイドとして「(米岡選手の)状態を常に気にかけて、小さな変化も感じ取るようにしている」と役割を自覚。「レース中に発するやりとりの声にも労力がかかる。レースで前に進むために力を使ってもらえるようなサポートを心がけている」と語り、スイムからバイク、バイクからランへの移行(トランジション)など、タイムに関わる細かい部分も綿密な調整を行う。
個人種目とは違い、2人の連係が求められるパラ競技。米岡選手とレースに挑む中で、海外選手の強さを肌で感じる機会も多かったという。「スイムとランは選手個人の力によるが、バイクはガイドが引っ張っていける。そういった部分で、世界の強豪選手との差を痛感し、それが自分のレースのモチベーションにもつながっている」と話す。
「米岡選手もレースへの特別な思いがあるだろうし、自分は一歩引いたところで冷静に客観視しながら、2人でレースを作り上げられれば。メダル獲得へ一つでもいい順位を狙うのはもちろんだが、自分たちが納得のいくパフォーマンス、力を出し切ることを大切にしたい」と意気込む寺澤さん。「パラリンピックという誰もが知っている大きな舞台で、レースができることはうれしい。地元からもたくさんの応援をもらっている。岩手から東京に出て頑張る自分の姿を、古里の多くの人々に見てもらえたら」と活躍を誓う。
パラトライアスロン競技は9月1(日)、2(月)の両日、パリ・アレクサンドル3世橋周辺を発着点とするコースで開かれる。スイム750㍍、バイク20㌔、ラン5㌔の、オリンピックトライアスロンの半分の距離「スプリントディスタンス」で行われ、米岡選手と寺澤さんが出場する男子PTVIは2日午後3時15分(日本時間)にスタート予定。