売り上げ減への不安続く 商議所会員事業所にアンケート 原油・原材料価格の上昇も
令和6年8月16日付 1面

大船渡市と大船渡商工会議所が6~7月にかけて実施した同商議所会員事業所対象のアンケート調査で、昨年同時期の売り上げ状況との比較で「減少」と回答した割合が64・9%となった。今年4〜5月の前回調査よりも減少したが、物価高騰などで苦しむ現状が浮き彫りに。懸念される影響では売り上げや受注の停滞、原油・原材料価格の上昇が目立った。依然として、エネルギー価格高騰への支援や補助金・給付金の充実を望む声が多い。(佐藤 壮)
調査はコロナ禍や物価高騰などの影響が幅広い業種に及ぶ中、関係機関に対して必要な施策や要望などにつなげようと実施。令和2年度から定期的に行っている。通算17回目の調査で、本年度は物価高騰の影響を重点的に聞く内容としている。
市内企業の影響変化を定点的に把握するため、会議所の会員事業者から業種バランスを考慮し、600事業所を選定。285件の回答があり、回収率は47・5%だった。
調査基準日を今年6月末とし、前年同月の売り上げ状況を100とした場合の変化に関する質問では「減少」が64・9%で、前回調査よりも6・1ポイント低下した。「増加した」は21・1%で、前回調査比で6・8ポイント増えた。
減少幅は「5%以上」が最多で19・7%。「10%以上」は13%、「15%以上」は5・6%、「20%以上」は9・8%、「30%以上」は9・1%、「50%以上」も7・7%に上った。「30%以上」「50%以上」と回答した割合を業種別に見ると、建設業が35%に達した。
物価高騰について「影響を受けている」と答えたのは78・2%で、今年4〜5月に実施した前回調査よりも6・1ポイント減少。業種別では、宿泊業、農林漁業は100%だった。具体的には原材料・仕入れ価格や燃料価格、電気料金の各上昇に伴う利益圧迫に加え、消費の冷え込みを挙げる回答が多くを占めた。
今年7~9月の売り上げ見通しに関しては「減少する」が56・5%を占めた。前回調査時よりも5・4ポイント減。業種別では、食料品製造業が66・6%と最多で、小売業65・4%、医療・福祉63・6%と続いた。
今後懸念される影響は、複数回答可とした=別掲参照。「売り上げ・受注の停滞、不振」が3分の2を占め、次いで「原油・原材料等価格の上昇」が半数を超えた。以下、価格転嫁への対応、資金繰りの悪化、賃金の引き上げ対応、消費意識の変化などが高かった。売り上げ・受注に関しては小売業が81・1%で、建設業76・1%、医療・福祉72・7%となった。
資金繰りに関しては「現時点では問題はない」が52・3%。「借入金残高が増加」が14・4%、「新規融資を受けた(受ける予定も含む)」が13・3%、「新型コロナウイルス関連融資の返済が始まり負担になっている」は11・2%となった。
必要とされる支援策(複数回答可)では「エネルギー(燃料・電気・ガス)価格高騰に対する支援」は「売り上げ減少事業者への補助金・給付金」が今回も50%超に。エネルギーは、運輸業だけを見ると90%に達し、農林漁業も85・7%、飲食業75%と高かった。
コロナ禍や円安傾向に加え、気仙では人口減少による消費・需要減、公共工事減少、労働力不足といった構造的な課題も抱え、売り上げ減少など先行きへの不安につながっている。事業継続への後押しにつながる経済対策や、新たな展開への支援策の充実も求められる。