鎮魂の祈り 力強く厳かに 三陸町越喜来で三陸港まつり 郷土芸能で若い世代も躍動(別写真あり)

▲ 市内4団体が郷土芸能を披露し、にぎわった三陸港まつり

 大船渡市三陸町越喜来の三陸公民館で16日、第49回三陸港まつり(実行委員会主催)が開かれた。「未来は祭の輪の中にin三陸」のテーマのもと、東日本大震災犠牲者への鎮魂と復興を祈り、地域住民と学生団体が中心となって開催した。亡くなった多くの生命を供養したほか、郷土芸能共演には若い世代も参加して力強く躍動。世代を超え、祈りと伝統をつないだ。(齊藤 拓)

 まつりは、浦浜念仏剣舞と金津流浦浜獅子躍の両保存会が共催。令和2年は新型コロナウイルスの影響で中止したものの、毎年催されてきた。
 この日は台風7号の影響による天候不良で、会場を越喜来漁港から三陸公民館に変更。当初予定の花火は中止となったが、夕方から夜にかけて多くの住民が来場し、にぎわいを見せた。
 まつりには、首都圏の大学生や地元の高校生で構成する学生団体「Youthfor Ofunato(YfO、ユース・フォー・大船渡)」も協力し、会場内にブースを設置。ペットボトルを用いた灯籠の作り方を子どもたちへ教え、笑顔で触れ合った。
 夕方からは、YfOがペットボトル灯籠で作った「三陸港まつり」の文字パネルもともし、灯籠供養祭が挙行された。読経が流れる中、地元住民や来賓が焼香し、東日本大震災で亡くなった人をはじめ、海難事故者や魚類まで、多くの生命の安寧を祈った。
 続けて行われた開会式では、実行委員会の古水力委員長が「未来を考えながらつないでいくのがこのまつり。心のつながりを深め合いながら楽しんでほしい」とあいさつした。
 このあとの郷土芸能共演には、同市内4団体が出演し、地元の金津流浦浜獅子躍による力強い舞で幕開け。同町吉浜の吉浜鎧剣舞は、大人と一緒に子どもも衣装に身を包み、凛とした姿で踊っていた。
 また、今年1月に活動を開始した、県立大船渡東高校太鼓部のOB・OGでつくる天道虫の会は、和太鼓の演奏を披露。若さと迫力あふれる太鼓の音に、集まった観客も真剣に聴き入った様子で、演奏が終わるとあちこちで「アンコール」の声がわく盛り上がりとなった。最後は地元の浦浜念仏剣舞が、練習を重ねたYfOのメンバーも交えて勇壮な舞を見せた。
 越喜来出身で、浦浜念仏剣舞に囃子として参加したYfOの及川正嗣代表(群馬大3年)は「小さいころから囃子を聞いていて、中学校では練習もした。まつりの運営に回るとこんなにも大変なのかと思ったが、地域の人が協力してくれた」と、充実した表情で話した。