起工式9月4日に決定 共立メンテナンスのホテル  市街地に建設予定 市議会全員協議会で当局説明

▲ 建設予定地に立つ看板

 陸前高田市議会の全員協議会は20日に開かれ、市当局は㈱共立メンテナンス(本社・東京都、中村幸治代表取締役社長)が高田町の中心市街地で建設を計画しているホテルの起工式について、9月4日(水)に決定したと説明した。市と同社が交わしたホテル建設にかかる覚書締結からおよそ4年5カ月。地域経済活性化、観光振興などへの寄与が期待される事業が、いよいよ目に見える形で動き出すこととなる。完成やオープン時期など、その後の建設スケジュールは正式に決まり次第、順次発表されるとみられる。(高橋 信)

 

 市によると、起工式は4日午後1時30分からで、会場は最終調整中という。市側は佐々木拓市長らが出席する予定。
 全員協議会では、議員が「待望のホテル着工で、市民の期待も大きい。建設に伴う市の支援はどのようになっているのか」と尋ねた。
 これに対し、市商政課の伊藤芳光課長は「ホテルができれば、誘致企業として補助金を交付して支援していきたい」と答弁した。
 ホテルの仮称は「ドーミーインエクスプレス陸前高田」。建設地はJR大船渡線BRT陸前高田駅の東側で、現地には看板が立っている。建物は鉄骨造3階建て、客室数は136室を計画。大浴場の湯は、広田町の黒崎仙峡温泉から運ぶこととし、市は本年度内に運搬のため湯をためておくタンクを同温泉敷地内に新設する。
 市は通過型観光からの脱却を目指し、ホテル誘致を推進。令和2年3月には共立メンテナンスと建設に関する覚書を締結した。当初2年の着工、4年のオープンを計画していたが、新型コロナウイルス禍や物価高騰の影響を色濃く受け、建設スケジュールを延ばした。
 同社が手掛けるホテルは、スタンダードなビジネスホテルや和風プレミアムホテルなどニーズに応じたブランドがあり、「ドミニスタ」と呼ばれる熱狂的なファンがいるほど人気を博す。
 東日本大震災後の復旧事業が進ちょくし、令和5年度の市内観光入込客数(市調べ)は約135万人と震災前の水準に回復した中、再生された市街地に存在感を放つ有名ホテルが建てば、地域活性化などさまざまな効果が期待される。市民からは早期オープンを望む声が聞かれ、市議会も覚書締結後の動向を注視している。
 定例会の一般質問でも取り上げられ、一部議員は「市と会社との信頼関係で事業が進む。(共立メンテナンスは)日本を代表する企業であり、まちの活性化を図るためにも、市側の熱意を十分に伝えることが重要だ」などと注文していた。
 佐々木市長は「当市を訪れる観光客が市外の宿泊施設に泊まる状況が多く見られることから、ホテル建設は市の発展に不可欠であり、非常に重要なこと。交流人口増、経済活性化のためにも可能な限り支援をしていきたい」と意欲を語った。