旬の到来告げる サンマ初水揚げ 大船渡市魚市場 昨年大幅に上回る33㌧ 価格は1㌔1000円台に(別写真あり)

▲ 大船渡で初水揚げされたサンマ。数量もサイズも昨年を上回り、さらなる豊漁が期待される(別写真あり)

 大船渡市魚市場で23日朝、本州トップを切って秋の味覚・サンマの初水揚げが行われた。同市の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する「第十一三笠丸」(松谷裕漁労長、199㌧)と「第二十一三笠丸」(畠山英樹漁労長、同)が入港し、合計33㌧を水揚げ。数量は昨年の3・6㌧の約10倍となり、サイズも例年より大きめで順調な出だしとなった。作業を見守った水産関係者らは、遠い公海漁場で操業した漁船員らにねぎらいの言葉をかけ、不漁が叫ばれる状況下での漁獲増に期待を込めた。(菅野弘大)


 午前6時すぎ、海上に2隻の姿が見えると、市魚市場の南側岸壁に集まった多くの水産関係者らが手を振り、温かく迎え入れた。
 両船は、大船渡から東北東に約1000㌔離れた公海で、21日未明までに漁獲した分を水揚げ。網ですくい出されたサンマが勢いよくタンクに移されると、〝初物〟のお目見えに場内が活気づいた。
 1匹100~120㌘のサイズが中心で、中には140㌘を超えるサイズも見られた。買い受け人からは「大きいものが多い」「型もいいようだ」との声が聞かれ、入札の結果、タンク入りのバラは1㌔1500~1000円と、昨年より800~1030円ほど安値で取引された。
 第十一三笠丸の松谷漁労長(64)は「漁場は例年よりも近く、サンマの影も見えている。ここ3、4年と比べれば、サイズも大きいと思うが、漁獲場所も毎日変わるし、この状況が今後続いていくかは分からない」と話した。
 水揚げ風景を見守った渕上清市長は「初水揚げの現場の活気が心強い。今後も安全な航海と、漁がさらにいい方向に向かうことを願う」と期待。大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「地元漁船による水揚げの恩恵を受け、感謝している。遠い公海での良い漁況を願いつつ、われわれも新たな気構えで挑みたい」と語った。
 水揚げされたサンマは、赤崎町・下蛸ノ浦漁港で25日(日)午前8時から行われる「初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」(未来蛸ノ浦実行委員会主催)で、販売や炭火焼きの提供を計画している。
 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は今年から、サンマ漁の解禁日を公海に限定して8月10日に統一。今月8日に出港した三笠丸船団6隻は、解禁日から公海での操業を続けていた。本州では23日、大船渡のほかに気仙沼、女川両港で初水揚げが行われた。
 国立研究開発法人水産研究・教育機構水産資源研究所が発表したサンマ長期漁海況予報によると、来遊量は昨年に続く低水準で、漁場は北海道東側の公海が中心。1歳魚(漁期中に体長29㌢以上になると予測されるもの)の割合も昨年並みで、平均体重は昨年を下回る90~110㌘が主体となる見通しを示す。
 全さんまによると、昨年における全国の総水揚げ数量は2万4433㌧(前年同期比36%増)と過去最低だった前年を上回り、金額は101億1702万円(同2%減)。
 市魚市場では数量が3877㌧(同27%増)で、金額は18億5419万円(同7%減)。数量、金額とも12年連続の本州一を維持し続ける中、今後の漁況の行方に注目が集まる。