初物の活気 能登に届け 蛸ノ浦で「初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」 浜の幸振る舞い芸能ステージも(動画、別写真あり)
令和6年8月27日付 7面

「第12回大船渡市初さんまうにアワビ帆立かきホヤわかめ祭」(未来蛸ノ浦実行委員会主催)は25日、同市赤崎町の下蛸ノ浦漁港広場で開かれた。サンマは、23日に本州トップを切って市魚市場に水揚げされた初物から、約8000匹を炭火焼きで無料提供したほか、箱売りの販売は4000箱超を用意。多彩な浜の幸や芸能ステージで活気を生み出すとともに、能登半島地震の早期復旧・復興を願う募金活動も行われた。(佐藤 壮)
会場で集めた募金を大船渡市に寄託
実行委は、地元の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)や赤崎町内有志で構成。海の幸をPRし、復興支援への感謝を発信しようと、平成25年から開催し、「日本一早いサンマ祭り」として定着している。
今年も県内外から人々が押し寄せ、漁港広場につながる赤崎町内の県道は車の列が続いた。前日午後3時から待っていたという雫石町の百目木三夫さん(81)は「初めてだから早めに来た。昨年サンマをあまり食べられなかったから楽しみ。自分で食べたり、周りにどれくらい配るか考えている」と話し、鮮サンマの箱売り販売開始を待ち続けた。
開会式では、実行委の鎌田和昭会長が、東日本大震災時に受けた支援に触れ「能登半島の人たちが難儀している。皆さんの協力をいただき、少しでも手助けできれば」とあいさつ。引き続き、前田こども鹿踊りやチンドン寺町一座が登場し、息の合った舞や、にぎやかな演奏で景気づけた。
無料提供のサンマ炭火焼きは8000匹を用意。市観光物産協会が認定している「さんま焼き師」らが、炭火の熱さに負けずに立ち続け、火加減を丁寧に見極めた。
鮮サンマは、3~5匹入り1箱を1000円で販売。約1000人が列をつくる人気ぶりで、昼すぎには完売に。販売前には箱の中を〝見物〟できる時間もあり「今年は大きい」といった声が広がった。
天気が心配されたが、まとまった降雨は免れ、比較的過ごしやすい一日に。来場者はサンマだけでなく、カキやホタテの炭火焼きや各飲食出店業者の品々を味わい、多彩な食を堪能した。スイカ割りなど、子ども向けの企画でも歓声が広がった。
家族と一緒に訪れた滝沢中央小の船山慶介さん(4年)は「サンマを食べるのを楽しみにしていた」、弟の陽介さん(3年)は「ほっかほかでおいしかった」と話し、笑顔を見せた。
特設ステージでは、地元内外を拠点とする歌手や舞踊団体が次々と出演。今年は鑑賞中に募金を呼びかける時間もあり、多くの善意が寄せられた。会場で実行委から寄託された渕上清市長は「皆さんの心と復興への願いを、まつりのいきおいに乗せて能登に届ける」と述べた。