大船渡の役割再確認 推進協主催のILC講演会 佐々木副知事が解説

▲ ILC整備に向けた取り組みを分かりやすく解説する佐々木副知事

 大船渡市ILC(国際リニアコライダー)推進協議会(会長・渕上清市長)によるILC講演会は26日、盛町のリアスホールで開かれた。県の佐々木淳副知事を講師に招き、参加者は施設整備において大船渡港に期待される役割などを再確認しながら、早期実現への期待を高めた。
 県をはじめ関係自治体・機関・団体とともに実現に向けて取り組みを進めているILCは、国内外の研究者らの技術開発や研究に加え、市内外問わず広くILCへの機運醸成が重要とされている。講演会は、必要性や重要性に理解を深めてもらおうと開催した。
 市民ら約140人が出席。冒頭、渕上市長は「次に向かうためのステップアップとして開催する。佐々木副知事はILCに精通している。整備への歩みを着実に前進させたい」とあいさつした。
 政策地域部科学ILC推進室やILC推進局長などを歴任している佐々木副知事は「国際リニアコライダー計画の実現に向けて」と題して講演。実現に向けた取り組みや、日本の科学技術政策、地域連携の重要性などを解説した。
 この中で「ILC東北マスタープランの中で地名が入っているのは盛岡、仙台、気仙沼、大船渡。気仙沼と大船渡は、世界とつながる物流拠点として明示している」と紹介。衝突型加速器の心臓部となるクライオモジュールをはじめ、各種部品等の検査・組み立て、保管に十分活用できる港湾環境にも触れた。
 北上山地で整備する具体的な準備が進む状況に加え、欧州や中国での同様の整備構想にも言及。今年2月に、内閣府と文部科学省による将来の高性能加速器に関する連絡会が設置された動きに関しては「文科省だけでなく内閣府もかかわるようになってきたのは実はすごく大事で、われわれも関心を強めている」と語った。
 大船渡については赤崎町の山口・永浜地区を中心とした港湾機能に加え、多彩な食などの魅力を挙げ「物流のハブ機能だけでなく、研究者らに住んでもらったり、交流するといった面も考えていい。プログラムをつくり実行することが地域の発展につながる」と述べた。
 出席者からの質問を受け付ける時間も設けられ、「首都圏での反応が今ひとつではないか」との発言も。佐々木副知事は「コロナ禍前は盛り上がっていたが、止まってしまった感がある。積極的に中央に届く情報発信をしていきたい」と語った。
 講演会に先立ち、同協議会は令和6年度総会を開催。北上山地での整備実現に向けた要望活動を継続実施する事業計画などを決めた。