道の駅魅力創出へ連携を 市が㈱さとゆめと協定締結

▲ 協定の締結式に臨んだ佐々木市長㊨と嶋田代表取締役

 陸前高田市は、気仙町の道の駅高田松原の販売力強化、魅力創出などに向け、道の駅総合プロデュースなどの実績を持つ㈱さとゆめ(本社・東京都、嶋田俊平代表取締役)と地域力創造に関する協定を締結した。東日本大震災で被災し、令和元年9月に再建・開業した道の駅高田松原は、三陸観光のゲートウエイ(玄関口)として多くの観光客を呼び込む一方で、売り上げは計画を下回っている。市は道の駅の販売力を上げ、にぎわいを市全体に波及させようと、同社や同道の駅指定管理者などと連携して魅力の磨き上げに取り組む。(高橋 信)

 

魅力創出を図っていく道の駅高田松原

 協定の締結式は26日に市役所で行われ、関係者が出席。嶋田代表取締役(45)は同市の地域力創造アドバイザーにも就き、佐々木拓市長が委嘱状を手渡した。
 協定事項の柱は、▽道の駅高田松原の魅力創造▽観光コンテンツの磨き上げ、連携による付加価値の創造▽地域力創造に係る人材の確保・育成▽交流・関係人口の拡大──。同社は今後、月1回程度、市や道の駅指定管理者の㈱高田松原などと協議の場を設け、取り組みを検討していく。
 さとゆめは平成24年に設立。地域活性化に関わるコンサルティングや事業プロデュースを展開しており、全国40以上の地方自治体に対して支援を行っている。総人口約700人の山梨県小菅村の「道の駅こすげ」を総合プロデュースするなど、道の駅の立ち上げやリニューアル支援も手掛けてきた。
 陸前高田市では、20~40代の若手有志が同市の観光業を盛り上げようと、勉強会を定期的に開催。嶋田代表取締役を勉強会の講師として招いたことがあり、市は同社の企画力やノウハウを道の駅高田松原の魅力向上につなげようと、協定を結ぶこととした。
 同道の駅は県内唯一の国営追悼・祈念施設が入る高田松原津波復興祈念公園内にあり、県内外から大勢の人が訪れている。
 市によると、道の駅の年間来店者数は、開業初年度の令和元年度が9月からの営業で約24万7000人。新型コロナウイルス禍の状況下にあった2~4年度は年間40~50万人台で推移し、5年度は65万7000人と初めて計画を上回った。
 一方、年間売り上げは最高で約4億6000万円と計画を上回っておらず、さらなる売り上げ増が求められている。市は同道の駅の魅力向上、地元住民らの利用促進に向けたサービス企画・立案の参考としようと、今月末までウェブアンケートも実施している。
 協定は1年更新で、期間は最長で令和9年3月まで。嶋田代表取締役は「道の駅高田松原は素晴らしい施設で、全国、世界の人に知ってもらうべきストーリーがある。なにか新しいものをゼロからつくるというより、来てもらう人により陸前高田の魅力を知ってもらうよう微力ながら貢献したい」と意気込む。
 佐々木市長は「震災後のハード復旧がほぼ完了し、今後は交流人口増、地域活性化に向けて観光振興が非常に重要になる。道の駅は持てる力をまだ存分に発揮できていない。嶋田代表にはまずは道の駅の魅力創出に関してお力をお借りしたい。さらに市のほかの地域資源にも目を配っていただき、さまざまな観点で助言をいただきたい」と期待を込めた。