教員多忙化解消の実態は 市総合教育会議で市教委が実績報告 「時間外」全体で減少も〝二極化〟に課題

 令和6年度第1回大船渡市総合教育会議が27日に市役所で開かれ、市教委事務局は教職員の多忙化解消に向けた取り組み実績を示した。時間外在校等時間の平均は全体としては減少傾向にあり、小中学校ごとに組織的な取り組みが広がる一方、在校時間が長い教職員・学校との〝二極化〟といった課題も残る。市教委は本年度も、在校時間縮減といった定量的目標の達成に加え、業務に対する充実感向上にも力を入れる。(佐藤 壮)

 

教職員の時間外在校時間の推移などを確認しながら意見交換

 総合教育会議は首長が教育委員らを招集し、教育行政の推進に向けて定期的に協議を行う場。渕上清市長や小松伸也教育長、教育委員、担当課職員ら約10人が出席した。
 全国的な課題となっている教職員の多忙化解消に向け、市教委は令和3年度以降▽時間外在校等時間が月100時間以上をゼロにする▽時間外在校等時間(週休日の部活動従事指導時間を除く)が月45時間超、年360時間超を段階的に縮減する。5年度はゼロを目標▽月に平均1日以上の年次休暇取得教職員100%──を掲げる。
 市教委がまとめた5年度までの主な取り組み結果は別掲の通り。数値変化に関しては「時間外在校等の平均時間は、全体的に減少傾向」と総括。時間数では小学校が少なく、中学校が多い傾向にあるが、中学校の方が減少幅は大きい。4、5年度と月100時間超の教職員はいなかったが、教職員・学校ごとに差が大きい〝二極化〟も見られる。
 各学校では、アクションプランに基づき、管理職による面談や専門委員会の設置など組織的な取り組みを展開。定時退庁日に対する意識の高まりや、会議のペーパーレス化による資料作成時間の削減も進む。
 市は本年度、時間外在校に関しては「月80時間以上」の教職員をゼロにする目標を立てた。「月45時間超」「年360時間超」に関しては、5年度よりも縮減させる。
 さらに「授業や授業準備に集中できている」「健康でいきいきと業務を行っている」「自分の家庭のための時間を十分に確保できている」といった設問のアンケートで肯定的実感の回答割合が高まるなど、教職員の「ウエルビーイング」確保も目指す。
 目標実現に向け、教職員をサポートする支援員を配置するほか、統合型の校務支援システムを導入。部活動指導員の配置や「部活動のあり方に関する検討委員会」の開催も重点項目に挙げる。各学校では引き続きアクションプランを活用するほか、適切な業務分担も目指す。
 本年度4~6月の状況を見ると、時間外在校が「80時間以上」の教職員数は小中学校とも市全体で各月1~3人で推移。月平均45時間超の教職員の割合は小学校が25・5%~37・3%、中学校(週休日部活動を除く)では37%~50・6%となっている。一般的に、4~6月は年度始まりへの対応や運動会準備で多い傾向になるという。
 管理職や養護教諭、事務職員を除く中学校教諭と同講師計62人のうち、週休日などに部活動に関わる教員は29%にあたる18人。1人当たりの平均時間は月13~14時間となっている。
 委員からは「引き続き教育委員会と学校が連携をとって取り組みを」「教職員の役割をより明確化していくことで、保護者にも分かりやすくなるのでは」といった意見が寄せられた。
 この日の会議では「確かな学力の育成」として、事務局側が小学6年生と中学3年生を対象とした全国学力・学習状況調査の結果などを示しながら、現状課題を解説。ICT教育も話題となり、教育委員からは「タブレット端末の使い方が身に付いている」とする評価の一方で、「能力を培ってきた子どもたちが地域に根付くには、活用の場が必要。でなければ、地元にとどまってくれない」との発言もあった。