3年ぶり「参集型」で開催 気仙両市でツール・ド・三陸 190人参加 復興路を力走(別写真あり)
令和6年9月3日付 1面

「第13回ツール・ド・三陸~サイクリングチャレンジ2024~inりくぜんたかた・おおふなと」(実行委主催)は1日、陸前高田、大船渡両市で開かれた。昨年までは新型コロナウイルス禍の影響で大会期間を2、3カ月設けて参加者の分散を図ったが、今年は3年ぶりに「参集型」のワンデーイベントとして開催。県内外から約190人の愛好者や関係者が集まり、潮風を浴びながら東日本大震災からのインフラ復旧を終えた気仙路を力走した。(高橋 信)
台風の影響が心配されたが、1日の気仙はサイクリストが3年ぶりに一堂に会するイベントを祝うかのように青空が広がった。
発着場所の陸前高田市高田町にある商業施設「アバッセたかた」で開会式が行われ、参加者が集結。「久しぶり」などと再会を喜び合う姿も見られた。
コースは▽健脚A大船渡・広田コース(距離64・4㌔、獲得標高1126㍍)▽健脚B碁石・広田コース(同49・5㌔、同934㍍)▽ファミリーコース①(同15・6㌔、同249㍍)──。
強い日差しが照りつける中、参加者は自然豊かな気仙の景観を楽しみながらペダルをこいだ。エイドステーションでは蒸しガキやワカメうどんなどが提供され、三陸の食の魅力を満喫した。
広田町根岬の民宿志田は、震災前開催された「南三陸サイクルロード・りくぜんたかた」大会時から欠かさず続けているという沿道での大漁旗掲揚を実施。定番の休憩場所にもなっており、参加者は大漁旗の下で写真を撮るなどしていた。
初参加した秋田県秋田市の佐々木一彦さん(44)・航平さん(15)の親子は、健脚Aコースを完走。一彦さんは「海もきれいで走りやすかった。途中、息子に置いていかれたのが悔しかった」と笑い、航平さんは「景色がすごく良かった。他の参加者ともたくさん交流できて楽しかった」と振り返った。
佐々木拓市長は健脚Aコースに出場。市が友好協定を結ぶサッカーJ1・川崎フロンターレのユニホーム姿で走りきり、「県内外からたくさんの人に来ていただき、大変うれしい」とえびす顔だった。
8月31日には夢アリーナたかたで前夜祭が行われ、地元歌手の雪音さんのライブなどを楽しんだ。
ツール・ド・三陸は記録を競うのではなく、気仙が誇る景勝地や沿道の風景、食べ物などを楽しむ「ファンライド」のイベントとして、震災翌年の平成24年に始まった。
実行委の吉田正紀委員長(74)=高田町=は「天気がどうなるか最後まで分からなかったので、無事開催できて良かった。人口減が進み、こうしたイベントを通じて交流人口拡大を図るのは大事なこと。皆さんに楽しんでもらえればうれしい」と期待を込めた。