町政課題に意見交わす 次期総合計画策定へ 住民懇談会スタート
令和6年9月5日付 7面

住田町による住民懇談会は3日夜、上有住の五葉地区公民館を皮切りに始まった。町の次期総合計画に地域の声を反映させようとのもので、神田謙一町長をはじめ町幹部職員が出向き、町政全般の現状や課題について説明。人口減少対策としての移住・定住促進、特産品開発、観光地のPRなどが話題に上がり、参加住民らが将来に向けて、町当局と意見を交わした。懇談会は9日(月)まで行われる。(清水辰彦)
現在の町総合計画は、2年度から6年度まで5カ年の施策の方向性を定めたもの。国の「まち・ひと・しごと創生法」に基づいて国から策定を要請された「地方版総合戦略」と一体になっている。本年度で最終年度を迎え、7年度からは新たな計画がスタートすることから、策定前に住民と意見を交わそうと企画。神田町長や小向正悟副町長、松高正俊教育長、各課長らが並び、住民約20人が出席した。
冒頭、神田町長は「次の5カ年、前に進むための計画を作りたい。ぜひ忌憚のないご意見をいただければ」とあいさつ。引き続き、高萩政之企画財政課長が町の財政状況や人口推移の見通しについて説明した。
説明によると、町の単年度収支は令和5年度まで過去10年間、黒字で推移。一方で、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)による将来推計人口を基にした財政見通しでは、人口減少や公共施設の老朽化に伴う維持・改修などにより、9年度から赤字となることが見込まれるという。
今後の人口見通しは、町全体で減少が進み、特にも生産年齢人口や年少人口の減少が顕著。推計値では、12年度に4007人、22年度に3182人、32年度に2475人となり、2年度の5045人から半減する見通しが示された。五葉地区においても同様の傾向で、2年度に278人だった人口は12年度に207人、22年度に154人、32年度に114人となり、65歳以上の割合が6割を超える予測となっている。
現総合計画の振り返りでは、重点施策やアクションプランの達成状況を説明したほか、今年7月30日から8月16日の間で18歳~74歳の住民1110人を対象に行った町総合計画事業評価アンケートの結果(速報値)も公表。
アンケート結果によると、まちの住みやすさについて、「住みやすい」「どちらかといえば住みやすい」が51・5%、「住みにくい」「どちらかといえば住みにくい」が46・2%だった。「住みやすい」の理由としては「自然」や「安心して生活できる環境」が多く、「住みにくい」の理由としては買い物の不便さ、道路や交通の便が悪い、医療の充実具合が多くを占めた。
施策の重要度と満足度は、鳥獣害対策支援の重要性が高い一方で、満足度が低くなっていることなども結果として表れた。
次期計画は、7年から11年度までの5年間を期間として、▽現状と見通し▽基本理念▽基本計画──で構成。現計画でも重要施策に掲げている子育て、福祉、介護などの「医」、農林業、商工業、観光業など町内の産業に関する「食」、社会基盤やコミュニティーなどの「住」、「行政経営」を重点とする。
意見交換では、住民側から「どこかで人口減を止めないとまちが消滅してしまう」「若い人が住み続けたいと思う魅力を見つけていかなければ」といった危機感を持つ声が上がった。
地域資源を生かした特産品開発についても話題となったほか、地域おこし協力隊の任期後の定着率向上、五葉地区にある観光地・滝観洞のさらなるPRを求める意見も寄せられた。
4日夜は、上有住地区公民館で懇談会が開かれた。町では各地区の懇談会での住民の声も反映させながら、次期総合計画を策定していく。
今後の日程、会場次の通り。時間はいずれも午後7時〜8時30分。問い合わせは企画財政課企画調査係(℡46・2114)へ。
▽5日(木)=下有住地区公民館
▽6日(金)=町役場
▽9日(月)=大股地区公民館