ドーミーインホテル着工へ 滞在型観光推進に向け関係者期待 令和8年夏ごろの開業目指す

▲ 安全祈願祭でくわ入れを行う関係者

 ビジネスホテル「ドーミーイン」を全国展開する㈱共立メンテナンス(本社・東京都、中村幸治代表取締役社長)が陸前高田市高田町の中心市街地に建設する「ドーミーインEXPRESS(エクスプレス)陸前高田(仮称)」の安全祈願祭は4日、同町の夢アリーナたかたで行われた。今後、宿泊棟などの整備に入り、開業は令和8年夏ごろを目指す。「通過型観光」からの脱却が課題の同市にとってまちなかへのホテル誘致は悲願であり、オープンが待たれる。(高橋 信)

 

 安全祈願祭には、同社や施工を請け負う㈱橋本店(本社・宮城県仙台市)、市などの関係者約30人が出席。くわ入れや玉串奉てんなどで工事の安全を願った。
 ホテル建設地はJR大船渡線BRT陸前高田駅の東側で、敷地は5916平方㍍。建物は鉄骨造3階建ての宿泊棟(客室数136室)と、平屋建ての温泉棟を整備する計画で、延べ床面積は3942平方㍍を予定している。
 大浴場の湯は、広田町の黒崎仙峡温泉から運ぶ計画。東日本大震災からの「復興五輪」にも位置づけられた東京五輪の選手村で使われたカーペットの一部を、同ホテルで使用する方向で検討していく。
 事業にかかる投資額は、26~27億円程度を見込む。現段階で地元からおよそ20~30人の雇用を想定している。
 大浴場とご当地料理などを楽しめる朝食が魅力のドーミーインは、「ドミニスタ」と呼ばれる熱狂的なファンを持つほど人気を博す。ベーシックなビジネスホテルから和風プレミアムまで、旅の目的に応じたブランドがあり、うち「エクスプレス」はデイユースなどにも対応したホテルとして親しまれている。
 市と共立メンテナンスは令和2年3月、建設に関する覚書を締結。当初は2年の着工、4年のオープンを計画していたが、新型コロナウイルス禍や物価高騰の影響で見直された。
 公式ウェブサイトによると、東北のドーミーインは政令指定都市の宮城県仙台市に5カ所あるほか、青森県3カ所、岩手、秋田、福島各県に1カ所ずつと、いずれも総人口10万人以上の中都市や県庁所在地に構える。
 そのラインナップに、人口2万人に満たない陸前高田市が加わることとなり、市や地元関係者は「地方中の地方である陸前高田に整備されるのはあり得ないこと」「ドーミーイン目当てに来てくれる人も想定される。市街地を周遊する人が増えるなど、効果は多方面に広がる」などと歓迎する。
 佐々木拓市長は「市街地へのホテル建設は長年の悲願。ホテルができることで滞在型観光の礎となり、まちの発展にもつながる。全力で支援していきたい」と話した。
 同社の横山博取締役開発本部長は「このホテルが震災復興のシンボルともなるよう頑張っていく。陸前高田に日本全国、インバウンドの世界の方々が利用できるよう、さらに、市民に愛される施設となるようまい進していく」と決意を語った。