一般質問 異例の17人通告 市議会9月定例会 定数20下では最多に

▲ 21日間にわたる大船渡市議会9月定例会がスタート

 大船渡市議会9月定例会は6日に開会し、会期を26日(木)までの21日間と決めた。11日(水)から3日間の一般質問には、17人が通告。定数20となった平成24年以降では最多となる。防災やまちづくり、産業振興、住民福祉など質問内容は幅広い分野に及ぶほか、今定例会中は令和5年度各種決算認定に関する特別委員会審議も控えており、〝論戦の秋〟の行方が注目される。(佐藤 壮)

 

 一般質問は定例会ごとに実施し、議案に関係なく市政全般に関して当局の施政方針や対応のあり方を問う。これまでは10人台前半が多かった。市議改選後初となる6月定例会も15人だったが、今回はさらに増え、進行役を担う議長を除けば9割近い議員が臨む。
 今定例会の一般質問は、11日と12日が各6人。13日には、5人が登壇する。1議員当たりの持ち時間は質問と答弁合わせて50分。規則では会議時間を午前10時~午後4時と定めているが、初日と2日目は全員が持ち時間すべてを使った場合、昼食休憩の約1時間を挟んで同5時ごろまで続くことになり、延長が予想される。
 現在の会派構成は、光政会(森亨会長)と新政同友会(熊谷昭浩会長)が各6人で最多。今回、光政会では伊藤力也議長を除く5人、新政同友会は全員が質問に立つ。
 森会長は「議員個々が普段課題と感じていることを議会で取り上げていこうということは、会派内でも話題にしている。やはり4月の市議選無競争が大きいのではないか。市民に向けてどう出て行くか、または議会で何を議論するかは模索している状況。いずれにせよ、積極的に動くことは議会改革や広報・広聴の充実につながる」と語る。
 熊谷会長は「前回は改選後初ということで、思いを伝えようと全員が登壇した。今回はそうした思いの共有があった訳ではないが、それぞれが自発的に臨んでいる」と話す。
 一方、質問を受ける当局側では、答弁に向けた調整量や所要時間が増加。「(12議員が登壇した今年2月の)第1回定例会の質問数は約80問で、今回は約130問。人数、質問数も5割増し」(市総務課)という。
 市議会議長経験もある渕上清市長は「市民生活において課題が多様化、細分化されているのではないか。市としても、いろいろな見直しをかけている最中で、それに伴うプラス、マイナスが必ず出てくる。市民への情報提供にもなるし、詳細な議論ができるのではないか」と受け止める。
 会期中の19(木)、20(金)の両日には、議長を除く全議員で構成する決算審査特別委員会があり、特に2日目の総括質疑は毎年、10人以上の委員が幅広い分野を取り上げて発言する。渕上市政実質初年度の足跡を巡り、どのような論戦が交わされるか注目される。
 初日の本会議では、令和5年度各種決算認定10件、条例関連議案5件、本年度補正予算関連議案6件、人事同意3件、人事諮問4件などを提出。固定資産評価審査委員会委員はいずれも再任の鈴木信男氏(73)=日頃市町=と金哲朗氏(74)=同、教育委員会委員は新任となる長澤敏之氏(64)=立根町=の任命同意を議決した。
 また、諮問案件の人権擁護委員は伊藤聰氏(71)=盛町・再任、菅原圭一氏(69)=大船渡町・同、奥山幸子氏(74)=日頃市町・同、紀室浩氏(61)=末崎町・新任=の推薦に同意した。
 5年度決算のうち、一般会計と六つの特別会計を合わせた決算総額は、歳入が313億828万円(前年度比9%減)、歳出は304億3232万円(同比9・1%減)。歳入から歳出を差し引いた形式収支は、8億7596万円の黒字となった。
 一般会計の歳入は218億6593万円(同12・3%減、執行率92・2%)、歳出は211億1641万円(同12・8%減、同89・1%)。形式収支は7億4953万円、形式収支から翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は6億6444万円で、いずれも黒字となった。
 実質収支から前年度実質収支を引いた単年度収支は、283万円の赤字。財政調整基金積立金3億7814万円と取り崩し額4億8623万円を反映させた実質単年度収支も、1億1096万円の赤字となっている。
 自主財源の根幹をなす市税収入は41億3260万円(前年度比0・9%減)。収納率は96・5%で、前年度から0・5ポイント減少した。
 財政力を示す財政力指数は0・44%で、前年度から0・01ポイント低下(悪化)。歳入構造の安定性や弾力性を判断する経常一般財源比率は97・9%で、前年度から2ポイント上昇(改善)した。財政構造の弾力性を判断する経常収支比率は94・6%で0・3ポイント低下(改善)した。
 一般質問の通告内容は後日掲載。