「住田のみんなの場所に」 カフェ「USCOFFEE」 世田米の植田さん開業 あすプレオープン
令和6年9月8日付 7面

県産材をふんだんに使った木のぬくもりあふれる店内。窓から差し込む陽光が、その雰囲気を一層引き立てる。住田町の世田米商店街の一角に9日(月)、カフェ「USCOFFEE」(アスコーヒー、植田真治店主)がプレオープンする。古き良きたたずまいの商店街の景観に溶け込む同店では、豆の品質にこだわりぬいたコーヒーやドーナツで来店者をもてなし、「住田のみんなの居場所」として営業していく。(清水辰彦)

商店街の一角に9日、カフェ「USCOFFEE」がプレオープンする
同店では、植田店主(38)が焙煎から手がけたハンドドリップコーヒーと、手作りドーナツなどを提供。客席は10席ほどで、テイクアウトにも対応する。
コーヒーは、客側がコスタリカ産の「カトゥーラ」、ブラジル産の「イエローブルボン」など、豆の産地と品種を選択することができる。焙煎の講習会などには参加したが、「ほぼ独学でコーヒーの味を磨き上げてきた」という植田店主。一定の評価基準をクリアした高品質の豆を使った「スペシャルティコーヒー」を振る舞う。
ドーナツは「子どもから高齢者まで、いろんな人が来てくれるように」とメニューに加えた。ふんわり感ともっちり感を両立させた食感で、シュガー、チョコクランチ、カスタードなど6~8種類がカウンターに並ぶ。
植田店主は釜石市出身で、東京都の大学を卒業後に都内で会社員として働き、東日本大震災発生後の平成23年8月、帰郷して同市職員となった。妻・敦代さん(39)が震災後、住田町に移住しており、平成28年の入籍後から、植田店主も世田米で暮らし始めた。
元々「自分の店を持ちたい」という思いがあった植田店主。震災から13年が経過して釜石市の復興も進んだことから、昨年度末で退職し、晴れてカフェの開業に踏み切った。
植田さん夫妻は現在、町の「定住促進空き家活用住宅第4号」に入居しており、カフェは2階建て住居の1階に整備。開業にあたっては、町の起業奨励金も活用した。
外観、内装には「親しみやすく、居心地のいい空間を」と、県産木材を多く利用。これにより、県からは積極的な県産木材の利用を宣言する「木づかい宣言」事業者にも登録されている。
店名の「USCOFFEE」は、みんなの場所になってほしいという思いを込めて英語の「US(私たち)」を使った。
植田店主は「長く親しまれるお店にしたい。この店があることで、少しでも商店街に滞在する時間が増えてくれれば。今後、自分にできることが増えれば、例えば買い物に行くことが難しい高齢者の方に総菜パンを届けたりとか、何か少しでも地域のためになることをしていきたい」と展望を語る。
営業時間は午前10時~午後6時。当面の間は、毎週水曜日と毎月第3日・月曜日が定休日。