地域の歴史 後世に 仙台藩支えた今泉鉄砲組の子孫 屋敷跡地に看板設置(別写真あり)

▲ 震災の津波で流された今泉鉄砲組の屋敷について説明する看板を設置

 仙台藩直属の鉄砲隊の子孫でつくる陸前高田市気仙町今泉地区の仙台藩直参今泉御足軽御組後裔者会(中村克会長)は、東日本大震災の津波で流失した鉄砲隊の屋敷跡地に、屋敷に関する説明看板を設置し、8日にお披露目式を開いた。先祖から代々引き継いできた歴史的な財産だった屋敷を後世に伝える資料として役立てる。
 会員の子孫や菩提寺である龍泉寺の江刺秀一住職、設置業者ら11人が出席。かぶせていた防水シートを外して立派な看板が現れると、拍手が起こった。
 看板は縦90㌢、横1・2㍍。鉄砲組の歴史や役割、屋敷跡などについて紹介し、スマートフォンなどで読み取ると、市立博物館のホームページにつながるQRコードも載せた。
 設置費は市が地区コミュニティ推進協議会ごとに交付する地域交付金を充て、同市の㈲中野塗装(中野貴徳代表取締役)が施工した。
 今泉御足軽御組は約420年前、仙台藩初代藩主・伊達政宗に登用され、藩境や海上の警備、歴代藩主による領内巡視時の警護、盗賊の捕縛・護送などに当たった。明治維新まで約270年間勤仕し、今泉には足軽鉄砲隊24家の屋敷があった。
 後裔者会は昭和53年に発足。先祖の供養と各家々に伝わる古文書の発掘などを展開してきた。
 会員の多くは震災前、鉄砲組の歴史をとどめる鉄砲町に住んでいたが、津波によってすべての屋敷を失った。後裔者会は土地区画整理事業など復旧・復興事業のため、地区内外に分かれて暮らしながらも毎年供養式を行っているほか、今泉の歴史に理解を深めようと学習会も実施している。
 中村会長は「看板を立てた地は今泉鉄砲組の歴史を語り継ぐ大切な場所。屋敷は消失したが、看板を通じて地域の歴史が広く伝わることを願っている」と話した。