建設工事入札を電子化 審査申請受付システムは3市町で共同利用 事業者の来庁手続き負担軽減へ 大船渡市
令和6年9月15日付 1面

入札関連業務のデジタル化事業を進める大船渡市は来年1月以降、市が発注する建設工事を対象に電子入札を導入する。合わせて、同2月から運用予定の入札参加資格審査申請受付システムは、建設だけでなく建設関連、物品購入も対象とし、気仙3市町で共同利用する方針。いずれも県沿岸部では初めての試みといい、あらゆる分野で人手不足が進む中、事業者の来庁手続きといった負担を軽減し、業務の効率化を後押しする。(佐藤 壮)
市はこれまで、国のデジタル田園都市国家構想に呼応し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けた各種取り組みを展開。5年度は本庁舎で「書かない×ワンストップ窓口」を導入した。本年度の行政経営方針でも、横断的な重点施策として、『デジタル化の推進』を位置付けている。入札関連業務デジタル化事業は、国のデジタル田園都市国家構想交付金の交付決定を受け、実装を進めている。
国・県などで入札関連業務のデジタル化が進む一方、市では入札参加資格申請や入札会など、全て紙ベースで行っている。事業者が市役所に来庁した上で手続きを行う必要があり、時間・人員確保双方での負担につながっている。
電子入札導入により、入札参加の意思表示をネット上で手続きするほか、入札会場も設けず、結果もネット上での通知となる。基本的には、業者担当者が入札事務で市役所に出向く必要がなくなる。
中小事業者は役職員一人がさまざまな業務を担当しているケースが多い。時間的な拘束が少なくなり、業務効率化が図られるメリットがある。
建設工事を対象とし、本年度は数件程度。年度を通して60~70件程度の発注があり、来年度以降はすべて電子化対応となる。
県の電子入札に参加している業者は、カードリーダーなど新たな設備更新・導入の必要はないという。年内には業者向けに説明会を開く。
新たな入札参加資格審査受付システムは、建設工事だけでなく設計などの建設関連、物品購入も対象となる。これまでは建設工事入札と同様に、市役所に来庁しての手続きや、郵送の必要があった。大船渡市への申請業者数は1000を超えるほか、同市だけでなく陸前高田市、住田町にも申請している業者も多い。
こうした状況を受け、申請者の負担軽減や導入にかかる費用負担軽減を図る観点から、気仙3市町間で協議。結果、令和7、8年度の申請受け付けから、システムの共同利用を進めることになった。市議会9月定例会で関連費用を盛り込んだ補正を予算を計上している。
運用開始は来年2月を予定。事業者は申請先の市町を選択後、ネット上で必要書類を添付するほか、各種情報をシステムに入力。市は申請書類や必要書類を確認後、システムを介して申請受理通知を送信する。3市町はネット上で申請情報などの入力データにアクセスできる。今後、業者向けの説明機会を設けることにしている。
大船渡市は本年度、住民生活や情報発信に直結したDX化の取り組みとして▽LINEの機能拡充▽公共施設予約システムのリニューアル▽市ホームページのリニューアル──も展開。専門事業者からの提案を受けながら、システムの構築・導入を進めている。