気仙の住宅地 下落続く 県の6年度地価調査結果 3市町で下降幅拡大 人口減少で需要は低迷
令和6年9月18日付 1面
県は、令和6年度地価調査結果の概要を公表した。住宅地の平均変動率は、気仙3市町のすべてで前年度に続いて下落し、県全体も2年ぶりに下落に転じた。人口減少により土地需要が低迷する気仙は、基準地で価格が上昇した地点はなく、いずれの市町も下落が続き、下降幅が拡大した。(三浦佳恵)
地価調査は適正な地価形成を目的に、県が不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて基準地の標準価格を判定するもの。価格時点は7月1日。地価公示とともに、一般の土地取引価格などの指標となる。
県内の調査対象は、33市町村の基準地354地点(宅地・宅地見込地343地点、林地11地点)。気仙3市町は大船渡市が13地点(同12地点、同1地点)、陸前高田市と住田町が住宅地・宅地見込地のみ各4地点の計21地点。基準地や地点数は、前年度から変わらなかった。
気仙3市町の用途別平均価格(宅地・宅地見込地1平方㍍、林地10㌃当たり)と平均変動率(▼はマイナス)をみると、大船渡市は住宅地2万1300円、平均変動率▼1・7%、商業地4万7200円、同▼2・7%、工業地1万5700円、同0・0%、林地は3万3900円、同0・0%。
住宅地は9年連続の下落で、下降幅は前年度から0・2ポイント拡大した。商業地も下降幅が前年度から0・4ポイント広がった。工業地は5年連続、林地は3年連続の横ばい。
陸前高田市は住宅地1万5400円、同▼1・4%と下落。下降幅は前年度から0・1ポイント拡大した。
住田町は住宅地7000円、同▼1・0%、商業地1万5600円、同▼0・6%と、いずれも下落した。前年と比較した下降幅は、宅地が0・2ポイント拡大し、商業地は同水準だった。
県内住宅地、商業地の変動率上位に気仙の地点はなかった。
県全体の動向をみると、住宅地256地点の平均価格は2万6400円。平均変動率は▼0・2%で、23年ぶりに上昇に転じた前年度から再び下落した。
気仙を含む人口減少が進む地域では、土地需要が低迷し、地価が下落。建築費高騰などの影響により、地価の上昇をけん引していた県央の一部地域で上昇率が縮小し、県全体の平均変動率は下落に転じた。
県内で上昇したのは、盛岡など10市町の88地点で、前年度から7地点の増。気仙を含む沿岸部は上昇地点がなかった。宅地見込地2地点の平均価格は1万4100円で、平均変動率は1・1%となった。
商業地72地点の平均価格は4万4900円、平均変動率は▼1・1%と前年度から0・1ポイント縮小し、31年連続で下落した。価格が上昇したのは、盛岡、北上、滝沢、矢巾の4市町15地点。
少子高齢化や人口減少などで土地需要が低迷している地域が多く、県全体では下落傾向が継続した。一方で、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されて以降、繁華街や観光地の客足回復、インバウンド需要を見越した新規投資などによる地価の上昇もみられ、県全体の下落率には縮小傾向がみられる。
工業地13地点の平均価格は1万2600円で、平均変動率は2・1%と、上昇は6年連続。盛岡など8市町の10地点で価格が上昇した。
林地の平均価格は5万4800円、平均変動率は▼0・1%で、下落は30年連続となった。林業経営の先行き不安や従事者の後継者不足などによって林地需要が低迷している一方、国産材需要が高まっていることから、下落率は前年に比べて縮小した。
気仙地区の地価(基準値)は別表の通り。