人口減少下の発展策は 地区単位の市政懇談会スタート 4年ぶり、渕上市政では初

▲ 越喜来地区を皮切りに市政懇談会がスタート

 大船渡市による「新たなまちづくりに向けた市政懇談会」は26日夜、三陸町越喜来の三陸公民館で開かれた。市総合計画後期基本計画策定に向けたもので、令和2年度以来4年ぶり。渕上市政下では初めてとなる。人口減少下での持続可能なまちづくりや課題解決、地域発展策を見据え、出席した住民から多様な意見が寄せられた。市は今後も、地区単位で開催する。             (佐藤 壮)


 市はこれまで、令和3~12年度を期間とする総合計画と、7年度までの前期基本計画をもとに、将来都市像「ともに創る やすらぎに包まれ 活気あふれる 三陸のにぎわい拠点 大船渡」の実現に向け、各種施策を展開。成果や施策の推進状況を振り返り、新たな課題を把握しながら8~12年度を期間とする後期計画を策定する。
 懇談会での対話から出たニーズや、まちづくりに関する意見・提言の反映を見据える。越喜来地区が市内トップを切っての開催で、地域住民ら約40人が出席。市側は渕上清市長に加え引屋敷努副市長、小松伸也教育長のほか、各部課長が並んだ。
 冒頭、渕上市長は「多岐にわたる地域課題の解決に向けては、持続可能と発展の双方に貢献する取り組みを推し進めなければならず、限られた行政資源の効果的な活用を図りながら、これからの時代に求められるものを取捨選択するなど、施策の重点化が極めて重要」とあいさつ。越喜来活性化協議会の鈴木健悦会長も「今後のまちづくりビジョンを説明すると思われる。きたんのない意見を」と述べた。
 人口推移などの説明は、渕上市長が行った。国立社会保障・人口問題研究所のデータをもとに、令和2年に3万4700人余だった人口は、今年から6年後の令和12年には3万人未満となり、26年後の同32年には1万9200人余となる予測が示された。
 国土技術政策総合研究所の「将来人口・世帯予測ツール」を用いた地区別の人口予測も解説。越喜来地区の同2年人口は2167人だったのに対し、32年には819人にまで減り、人口減少率は62・2%と市全体の44・5%を上回る状況となっている。
 渕上市長は、人口減少を前提とした持続可能なまちづくりが求められるとし「負担の仕組み、支え合う仕組みを変える」とも強調。令和2年度に策定した市総合計画前期基本計画に沿った施策も示し、漁業資源確保に向けた取り組みやこども家庭センター整備、ふるさと納税による財源確保の各成果などを挙げた。
 懇談では、住民5人が発言。越喜来の被災跡地を活用した産業用地で民間企業が整備している大規模トマト生産設備での雇用規模や、保育料・給食費無償化の見通し、車が運転できなくなっても住み続けられる交通手段確保などが話題となった。
 また「厳しい運営となっている放課後児童クラブの課題解決に向けた糸口は」「越喜来地区のデマンド交通は、大船渡病院に直接向かうようにはできないか」「三陸ジオパークのジオサイトとして夏虫山、大窪山、元山を入れてほしい」といった発言も。それぞれの発言に対し、担当部長が見解や現状の動きを説明した。
 今後の日程次の通り。時間は午後7時~8時30分。参加対象は市民だが、在住地区での参加を原則とする。三陸町の吉浜地区は現在検討中。
 ▽30日(月)=赤崎地区公民館▽10月2日(水)=末崎町ふるさとセンター▽同7日(月)=蛸ノ浦漁村厚生施設▽同10日(木)=カメリアホール▽同16日(水)=立根町生活改善センター▽同29日(火)=綾姫ホール
 ▽11月6日(水)=大船渡地区公民館▽同8日(金)=猪川地区公民館▽同19日(火)=日頃市地区公民館