残り半年間も地域とともに 蛸ノ浦保育園 年度末の閉園決定 最後の「うんどうかい」に(別写真あり)

▲ 園児だけでなく保護者や卒園児も積極的に参加

 大船渡市赤崎町の蛸ノ浦保育園(亘理公子園長、園児15人)を運営する社会福祉法人蛸ノ浦愛育会(志田俊一理事長)は今月、本年度末での同園閉園を決めた。少子化の影響で園児数の減少が続き、45年続いた運営に幕を閉じる。28日には最後の「うんどうかい」が開かれ、子どもたちや地域住民が慣れ親しんだ広い園庭で思い出を刻んだ。(佐藤 壮)

 

 同園は昭和54年に開園。これまで600人余の卒園児を送り出し、1学年だけで20人を超える年もあった。開園当時の建物は、改修などを経て現在も利用。高台に位置する園庭は市内の保育園施設でも有数の広さで、子どもたちはのびのびとした環境で過ごしてきた。
 現在の園児数は15人で、3~5歳児9人と、2歳児以下の6人の2クラス体制。令和2年度までは園全体で30人以上が在籍していたが、減少が続き、8年度には7人になる見通し。
 運営状況が厳しさを増す中、理事会や評議員会での協議を重ね、市にも相談。蛸ノ浦地区の少子化が進み、園児増が見込めないことから、今月11日の理事会で年度末での閉園を決定した。保護者にも説明し、地区内にも文書で告知した。住民からは驚きの声もあったという。
 小学校に進む年長児以外の子どもたちは、希望する他の保育園、こども園に通えるよう調整する。保育園用地の利活用は今後検討する。
 地域と協力して運営を続けてきたことから、今後の保育園行事は、これまで以上に感謝の思いを発信しながら開催する。28日の「うんどうかい」は保護者や祖父母はもちろん、地域住民の来場も歓迎した。
 子どもたちのかわいらしい「かけっこ」や「獅子舞」の踊りに加え、かつて過ごした小中学生によるリレーも。フィナーレでは来場者全員で『こども斎太郎節』に合わせて舞を繰り広げたほか、保育士が「地域のみなさんありがとう」とメッセージを掲げた。
 卒園児でもある保護者会会長の磯谷皇紀さん(41)は「これまでの『うんどうかい』は園児と親が中心だったが、今年は卒園した小中学生も積極的に参加してもらい、活気あるものになった」と語り、地域への感謝を込めた。
 志田理事長は「少子化が進むと、どうしても小さな地域から影響が大きくなる。保育園は子どもがいなければ運営できない。残念ではあるが、残る行事も地域の方々と一緒に行っていくことができれば」と話していた。