台湾の教育旅行誘致へ 3・11伝承ロード推進機構 台中市の 関係者招待 陸前高田など被災地案内(別写真あり)

▲ 震災津波伝承館を見学する台湾の教育関係者

 一般財団法人3・11伝承ロード推進機構(今村文彦代表理事)は、台湾から東日本大震災被災地への教育旅行誘致に取り組んでいる。24~27日は台中市の教育関係者6人を招き、陸前高田市を含む岩手、宮城両県の震災遺構や伝承施設を案内。同市では地元の観光関係者を交えてのセミナーもあり、来日者は市内における受け入れ態勢や体験型プログラムなどに理解を深めた。(高橋 信)

 

地元の観光者との懇談も行われた

 来日したのは、台中市立恵文高級中学など6校の各校長ら。前半は宮城県多賀城市や松島町、南三陸町を巡り、26日に陸前高田市を訪れた。
 同市では気仙町の農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」で昼食をとったあと、高田松原津波復興祈念公園内の震災津波伝承館を見学。中国語解説員の案内のもと、震災の事実と教訓を伝える展示ブースなどを見て回った。
 その後、高田町の市コミュニティホールに移動。市観光物産協会や県立野外活動センターなど観光客や教育旅行者を受け入れている市内6施設・団体の担当者から、おのおの手掛けている事業やサービスの説明を受けた。
 この中で、市立博物館の浅川崇典学芸員(34)は、常設展示室の各エリアなどを紹介する多言語音声ガイダンスの機能を紹介。「当館の観覧料は無料で、陸前高田の自然、歴史、文化を学べるコーナーがそろっている。要望にも可能な限り応じ、学びを提供したい」とPRした。
 ワタミオーガニックランド農場担当の鈴木空慈さん(24)は「最大で300人の受け入れが可能な食事が強み。自然を生かした命を学ぶ体験型プログラムも用意しており、ぜひ陸前高田に来ていただきたい」と訴えた。
 台中市立西苑高級中学の劉洲溶(リウ・ジョウ・ロン)校長は「担当者がいずれも熱心にPRしており、大変感心した。台湾も災害多発地であり、陸前高田は防災の意識を高めるうえでとても素晴らしい場所だ」と話した。
 台湾の教育関係者の招へいは昨年度に続いて2回目。前回は台北市から招き、今回は台中市を対象にした。
 3・11伝承ロード推進機構の原田吉信業務執行理事は「震災後、台湾からは被災地に対して多大な支援をいただいており、招へいは復興した現状を見てもらい、感謝を伝えるうえでも意義がある。日本の教訓を活用してもらうなど、ウィンウィンの関係性を築いていきたい」と展望した。