〝魅せ方〟工夫で発信強化 ふるさと納税のポータルサイト 専門業者に管理等委託へ

▲ 町が管理する現在の納税サイトのページ。専門業者に委託することで、より返礼品の魅力が伝わるサイトを目指す

 ふるさと納税の新規寄付者獲得やリピーター増加に向けて、住田町はポータルサイトの管理などを専門知識・ノウハウを持つ町外の業者に委託する。近く業者と契約し、返礼品の〝魅せ方〟に工夫を凝らし、ポータルサイトの返礼品紹介を充実させることでアクセス数と寄付の増加につなげていく。本年度で体制を整え、令和7年度から本格的にサイトを運営していく考え。(清水辰彦)

 

 ふるさと納税は、出身地など特定の自治体に寄付する制度。同町は平成20年に「住田町森林・林業日本一の町づくり寄付条例」を制定し、森林・林業を通じたまちづくりなどに活用してきた。
 27年度には寄付金の使途を幅広いまちづくり事業に拡大。▽森林・林業日本一の町づくり▽子育て・福祉・医療の充実▽教育・文化・スポーツの振興▽住民活動団体の支援▽そのほかのまちづくり──の五つから支援分野を選べるようにした。令和2年度からは総合計画に掲げる取り組みも加え、支援分野を細分化した。
 返礼品としては、町花アツモリソウの苗や滝観洞の入洞券、地元食材を生かしたセット、木工製品などを取りそろえて住田らしさをPR。4年度には町内農家が生産した梅酒、同町のSUMITAチェーンソーアート杣遊会が制作した作品などを返礼品に加えて種類も増やし、まちのPRを図っている。
 現在、町では「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」、JR東日本のECサイト「JREMALL」「ANAのふるさと納税」の五つのポータルサイトに出品しており、うち「さとふる」を除く4サイトでは町自ら返礼品ページを管理。
 専門業者にはこの四つのサイトの管理を委託し、返礼品の写真や紹介文などに工夫を凝らすことでアクセス数を増やし、より魅力が伝わるサイトを構築する。「まちづくり応援寄付推進業務委託料」として、本年度の一般会計補正予算に240万円を計上した。
 近く、専門業者との契約を予定しており、年内にも返礼品紹介の磨き上げを開始する。所得税の還付、翌年度の住民税の控除の対象は12月31日までの寄付分となるため、寄付が集中する10月から12月にかけての新規寄付者も獲得したい考え。本年度で体制を整え、7年度からさらなる寄付増加を目指す。
 現在、返礼品の発注・発送管理も町で行っているが、今後はこの業務も専門業者に委託することを視野に入れる。加えて、業者と連携しながら返礼品の新規開発も進める。
 ふるさと納税PRに関しては、同町では職員がそれぞれの名刺裏面に納税サイトのQRコードを掲載して使用する取り組みも進めており、一人一人が〝営業マン〟として新規開拓に努めている。
 同町の5年度の寄付件数は1415件(4年度比343件増)で、金額は2248万円(同8万円減)。金額は前年度から横ばいだったが、寄付件数は新型コロナウイルス禍以前と比べると増加傾向にある。
 町企画財政課企画調査係の本田貴寛主事は「まちの取り組みに共感、応援してくださる寄付者が増え、歳入確保やまちの魅力発信、地域産業活性化につながっていけば」と話している。