気仙に秋告げる祭りばやし トップ飾り小友町で大祭 八幡神社 8年ぶり挙行 11組参加(動画、別写真あり)
令和6年10月6日付 1面
気仙の秋祭りのトップを切って5日、陸前高田市小友町で八幡神社(本多暁子宮司)の式年大祭が開かれた。無病息災、大漁・安全を祈願する4年に1度の祭りだが、前回は新型コロナウイルス禍の影響を受けて中止したため8年ぶりの挙行。町内11祭組がそれぞれ練習してきた郷土芸能や手踊りを奉納し、秋晴れの下、地域に活気を呼び込んだ。(高橋 信)
大祭実行委(及川常明委員長)が主催。東日本大震災翌年の平成24年は復旧途上のため見送られ、28年に8年ぶりに開催。令和2年はコロナ禍で中止となったため、今回も8年ぶりとなった。
参加したのは▽新山▽矢の浦・獺沢▽柳沢▽只出▽茗荷・岩井沢▽谷地▽田束▽西の坊▽門前▽松山▽上の坊──の各祭組。神社の社殿前で虎舞や権現舞などを奉納したあと、大祭式、神輿行列が行われた。
余興を奉納する御旅所の会場は復旧工事の完了を受け、震災前と同様、只出漁港となった。青空に映える色鮮やかな大漁旗が飾られた漁港で、各祭組が練習の成果を出し合った。
只出祭組は参加した祭組の中で唯一、手踊り「只出おどり」を奉納した。曲目は『只出あいや』『みめより(通称・四つ竹)』。新調したそろいの着物姿の女性たちが、きれいな舞で魅了した。
田束祭組は唯一、剣舞を披露。踊り手に20~30代の若者や、子ども剣舞の保育園児、小学生が加わり、幅広い世代が勇壮な演舞を繰り広げた。
踊り手の藤原壮伸さん(37)は「練習通りにできないところもあったが、メリハリをつけて踊れた。剣舞は自分にとっても初挑戦となり、とても楽しかった」と笑顔だった。
16年ぶりに参加したのは柳沢祭組。9月はじめから1カ月間練習を続け、総勢約60人の権現舞を披露した。
同祭組の高橋節朗委員長(75)は「16年ぶりとしては100点満点の奉納だった。震災後、地域でなかなか活動ができなかったが、お祭りを機会に住民同士の良い交流ができた。この絆を大事にしたい」とうなずいた。
午後には、神輿海上渡御が16年ぶりに復活。祭り参加者や大勢の見物客が岸壁に集まり、みこしを乗せた船が海上を巡る様子を眺めた。
八幡神社総代長の及川委員長(76)は「皆さんのおかげで晴天に恵まれた。各祭組が一丸となって練習して本番を迎え、素晴らしいお祭りとなった。これからの小友地区の発展にもつながればいい」と願いを込めた。
気仙では13日(日)に日頃市町の五葉山神社と、三陸町吉浜の新山神社で、19日(土)に末崎町中森の熊野神社でそれぞれ式年大祭が、20日(日)に気仙町の鹿島神社で例大祭が行われる予定。