プロの技術と姿勢肌で アルタスとグルージャのサッカー教室 西、中村両選手が指導 鹿島の震災支援の縁で実現

▲ 西大伍選手

 大船渡市のFCサンアルタス大船渡と、サッカーJ3・いわてグルージャ盛岡の選手らによるサッカー教室は7日、盛町の市民体育館などで開かれた。東日本大震災後からアルタスを支援しているJ1・鹿島アントラーズのサポーターとのつながりが縁で実現したもの。同日は、子どもたちがプロ選手から実戦的なプレー指導を受け、さらに上のステージに行くために必要な気持ちや練習に取り組む姿勢を学んだ。(菅野弘大)

 

 アルタスは、13年半前の震災で練習場所を失うなどの被害を受けた。その際、大船渡高出身でアントラーズに在籍していた小笠原満男さん(45)を筆頭に、多くの関係者による被災地支援活動が展開され、物資の提供や試合への招待を受けるなど、現在も息の長い交流が続いている。
 今回の教室は、震災直後から大船渡を訪れ、アルタスへの支援を続けるアントラーズサポーターの青野英明さん(46)=茨城県鹿嶋市=が中心となり、「プロの技を感じてもらい、目標や夢を持つきっかけに」と企画。教室には、かつてアントラーズに在籍し、つながりのあったグルージャのDF・西大伍選手(37)とMF・中村充孝選手(34)を招いた。
 練習では、ウオーミングアップから子どもたちと一緒に体を動かし、ドリブルやパス、対人形式の練習を指導。2対2のトレーニングでは、西選手と中村選手のペアに子どもたちが挑戦し、果敢に突破を試みた。西選手は、サイドバックでのプレー経験から、ボールを持っていない時の動きとして、ボール保持者を追い越したり、横に幅を取ってスペースを広げることなどをアドバイスし、相手守備をかわしてゴールに向かう戦術を伝えた。

中村充孝選手

 試合形式のゲームでは、両選手もチームに入ってプレー。ボールを奪われない体の強さや、相手を翻弄するドリブル、トラップ、パスの技術、空間をうまく使う視野の広さなど、プロの巧みな技を随所に見せ、子どもたちも一つ一つのプレーに歓声を上げた。
 アルタスの桜田悠さん(立根小6年)は「ボール運びなどすべてが上手だったし、丁寧に教えてくれた。自分も西選手や中村選手のようなすごいプレーヤーになりたい」と憧れのまなざしを向けた。
 練習後は、シーパル大船渡で質疑応答の時間が設けられ、アルタスのジュニアユースのメンバーがプロで活躍する2人に多くの質問を投げかけた。中学生年代におけるトレーニングや気の持ち方、技術、戦術的な問いにも真摯に答え、子どもたちの成長や、技術向上に期待を込めた。
 西選手は「サッカー以外でも、自分が熱くなれることを見つけて、それができる環境にも感謝しながら、楽しんでやってくれれば」、中村選手は「『うまくなりたい』という気持ちが一番大切。プロを目指すのであれば、本気で取り組んでほしい」と、それぞれメッセージを寄せた。