2024参院補選岩手選挙区/あす告示、乱戦模様に 元新5氏が立候補予定 「保守票」の行方にも注目

 参議院岩手選挙区(定数1)の補欠選挙は、10日(木)告示され、27日(日)投開票の日程で行われる。これまでに元職1人と新人4人が立候補を表明。5人による乱戦が展開される見通しとなっており、自民党の候補擁立見送りによる「保守票」の行方にも注目が集まる。(写真の並びは右から表明順)

 

 今補選は、国から公設秘書給与をだまし取ったとして詐取罪で在宅起訴された広瀬めぐみ氏(58)=自民党離党=の議員辞職に伴うもの。
 8日までに立候補を表明したのは、表明順に、政治団体代表の新人・小田々豊氏(69)、立憲民主党公認の元職・木戸口英司氏(61)、元滝沢市議の無所属新人・田中亜弓氏(53)、幸福実現党公認の新人・松島弘典氏(67)、参政党公認の新人・吉田利也氏(48)の5人。元職の木戸口氏を軸とした戦いが展開されるものとみられる。
 花巻市出身の木戸口氏は、平成28年の参院選で初当選。2期目をかけて臨んだ令和4年、現新5人が出馬した中、自民公認の広瀬氏との事実上の一騎打ちに敗れた。今補選には、「暮らし、仕事、そして学びの現場をしっかりと守ることを訴える」として立候補を表明。立民県連所属の県議や無所属県議からなる政治団体「岩手を守り日本を変える会」(代表・佐々木順一県議)が設立され、同団体を介して県内野党組織を集結させ、野党共闘体制で臨む構えを見せる。
 政治団体「世問(よと)う国民党」代表の小田々氏(高知県中土佐町)は、最低賃金の引き上げや子育て支援拡充などを主張する。
 元滝沢市議で同市在住の田中氏は、県内産業の活性化や医療格差の是正、ペット飼育の促進による健康寿命の延伸などを掲げる。
 盛岡市出身で神奈川県在住の松島氏は、「小さな政府、安い税金」の実現、外交と国防強化による平和維持を目指す。
 陸前高田市出身で東京都在住の吉田氏はインターネットも活用し、「国益を守る」「正確な情報の伝達」などの訴えを広げる。
 これまで、参院岩手選挙区は与野党対決を軸に展開されてきたが、今回、自民は前回選への広瀬氏擁立のけじめを取るとして候補擁立を断念して〝不戦敗〟に。これによって、これまでの自民支持層の票は「浮動票」となる。2年前の参院選での広瀬氏の得票数は、有権者の47・2%にあたる26万4422票で、今回はその取り込みもにらんだ戦いとなりそうだ。
 次期衆院選は15日(火)公示、27日投開票の日程が見込まれ、本県のみ「衆参同日選」となる公算。
 本県での直近の衆参同日選は、平成19年の衆院岩手1区補選と参院選の同日執行だった。全県を対象とする参院選と衆院解散総選挙の同日執行は、中選挙区制だった昭和61年までさかのぼる。
 9月1日時点の県内の選挙人名簿登録者数(有権者数)は100万2566人(男48万494人、女52万2072人)。