爽やかに交流満喫 大型客船「飛鳥Ⅱ」 一夜過ごし、きょう朝出港(別写真あり)

▲ 青空の下、大船渡港に入港する「飛鳥Ⅱ」

 郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県横浜市)所有の大型クルーズ客船「飛鳥Ⅱ」(渡邉恒介船長、5万442㌧)が13日、大船渡港に入った。好天の下、接岸した大船渡町の野々田埠頭では歓迎セレモニーが行われ、乗船客と市民らが交流を深めた。この日は7年ぶりに大船渡で一夜を過ごし、14日午前8時に横浜港に向けて出港する。(佐藤 壮)

 

船体の間近で『御祝い』を披露

 13日の午前7時前には大船渡湾内に入り、雲一つない秋晴れの中で、養殖棚や島々の間を滑るように航行。野々田埠頭では、遠藤和子踊り教室や大船渡商工会議所女性会、国際ソロプチミスト岩手リアス、さいとう製菓㈱、さんりく椿(旧食の匠グループ)、JAおおふなと女性部、椿の里・大船渡ガイドの会、大船渡・海を愛する会の関係者ら計40人超が並び、歓迎の舞として定着している『御祝い』を披露した。
 デッキから眺めた乗船客は「おはよう」と大きな声を響かせたほか、手拍子を送る姿も。港町ならではの歓迎を満喫し、笑顔を見せた。
 歓迎セレモニーでは、渕上清市長が「市民をあげて歓迎する。岸壁では特産品販売に加えサンマなどの炭火焼きを振る舞うほか、徒歩5分のおおふなぽーと前では、産業まつりも開催している。ぜひ足を運んでほしい」とあいさつ。記念品贈呈なども行われた。
 船から降りた乗船客は、物産品が並ぶテントの下で足を止めた。熊本県熊本市の畑上利郎さん(82)、孝子さん(78)夫妻は「おおふなトンがかわいくて、一緒に写真を撮りたいと思った。大船渡湾に入り、養殖棚や島の間を進む光景はとても美しかった」と話していた。
 この日は休日とあって、幅広い世代の地域住民が間近で白い船体を見上げた。末崎小学校の石井翔さん(2年)は「煙突のあたりが特にかっこいい。将来は飛鳥Ⅱの船長になりたい」と目を輝かせた。
 飛鳥Ⅱは全長241㍍、全幅29・6㍍。客室数436室を誇り、日本船籍最大の客船として知られる。市の「おおふなと特別観光大使」にも委嘱され、今回で23回目の入港となった。
 今回の入港は、横浜港を発着とする「秋の日本一周クルーズ」(12泊13日)の一環。3日に出港し、別府(大分県)や仙崎(山口県)、伏木(富山県)など各港を経由して大船渡港が最終寄港地となる。平成29年以来7年ぶりに同港で停泊する日程が組まれた。
 乗客は約690人。大船渡寄港・停泊に合わせ、乗船客は猊鼻渓や中尊寺、碁石海岸への各観光に加え、約300人が陸前高田市での三陸花火競技大会鑑賞を申し込んだという。
 14日午前7時30分ごろからの出港セレモニーでは、大船渡東高校太鼓部による演奏や黄色のハンカチを振りながらの見送りを予定している。一般住民も野々田埠頭への入場が可能。「Bゲート」で、徒歩で入る。市では、駐車場はキャッセン大船渡などを利用するよう呼びかけている。