令和初の1000㌧到達 市魚市場の8、9月サンマ水揚げ実績 好調続くも予報は「低水準」

▲ 全国的に好調なペースでの水揚げが続いているサンマ=大船渡市魚市場(今月11日)

 大船渡市魚市場における8、9月のサンマ水揚げ実績は、数量が1257㌧、金額(税込み)が6億6817万円で、いずれも前年同期を上回った。9月末時点で1000㌧に到達したのは平成30年度以来となり、令和に入ってからは初めて。公海における漁解禁が前倒しされた本年度、関係機関による予報は「低水準」の見通しだが、全国的に〝豊漁〟の傾向が続いており、水産関係者らは好漁の継続に期待を込める。(菅野弘大)

 

 市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)によると、8月の水揚げ量は161㌧で、金額は1億5950万円。9月は1096㌧、金額は5億866万円となった。
 昨年8、9月の水揚げ総計(9月30日午前まで)は数量が830㌧、金額は5億54万円。今年は、数量では51・5%、金額は49%それぞれ上回った。
 今季のサンマ漁は、公海に限り例年よりも早い8月10日に解禁。大船渡への初水揚げは同23日で、続く同29日には早くも100㌧を超えた。9月下旬からコンスタントに100㌧超えが相次ぎ、同30日には284㌧が水揚げされ、「前年並み」とされていた長期予報を覆して豊漁の様相を呈している。
 今月11日にも今季2度目の200㌧超えを記録するなど、まとまった数量の水揚げが続く。漁船関係者らからは「近年の中では魚影は見えている」「大船渡に戻る途中での漁獲もあり、魚群の南下に期待したい」といった声が聞かれた。その一方、漁場の公海では、サンマの漁獲枠の関係で、漁獲枠の上限に達した外国船が撤退している状況といい、今後はいかに効率的に魚群を探し出せるかが、数量確保の鍵となりそうだ。
 市魚市場の令和5年度サンマ水揚げ実績は、数量が3877㌧(前年同期比27%増)で、金額は18億5419万円(同7%減)。三陸海域での漁獲など好材料もあって数量は持ち直したが、魚体の小型化や漁場が遠いことによる鮮度落ちなどが響き、価格は伸び悩んだ。
 東日本大震災前の数量(いずれも年度)は平成20年が3万400㌧、21年が2万9081㌧、22年が2万1687㌧。23年は震災で被災したが、1万㌧後半をキープした。
 その後は、24年が2万385㌧、25年が1万4585㌧、26年が2万7133㌧、27年が1万3684㌧、28年が1万3845㌧、29年が1万1088㌧、30年が1万7379㌧と推移。しかし、令和に入って1万㌧を割り込み、元年と2年はいずれも6000㌧台前半、3年は平成以降で最低の2471㌧にとどまった。4年と5年は3000㌧台とやや回復したが、低水準の状況は変わらない。
 一般社団法人・漁業情報サービスセンターが発表した本年度第4回サンマ中短期漁況予報によると、道東海域では今月中旬に来遊の可能性があるものの、低水準。三陸海域は同下旬以降に断続的な来遊があり、三陸南部沖合に散発的な漁場形成がある見通しだが、量は少ないとしている。
 大船渡魚市場の佐藤光男専務は「水揚げの数量があれば、運送や製氷、資材など、市場に関連する仕事もしっかり回る。今後の漁況が予報通りになるのかは読めないが、現状のまま続いてくれれば」と話す。