相次ぐ不適正事務追及 市議会全員協議会 当局に要因や防止策問う

▲ 懲戒処分に至った背景などを追及した全員協議会

 大船渡市議会全員協議会は16日に議場で開かれ、市当局が「職員の非違行為等の検証および再発防止に向けた対応」を説明した。7月に公表した懲戒処分3件や、教育委員会事務局における不適正事務を巡り、発生した要因や検証内容などを公表。平成31年の簡易水道事業に関する市職員の逮捕事件以降の対応も振り返り「今回の懲戒処分事案は、人事体制に関する改善の取り組みが不足していた」との認識を示した。
 市がまとめた懲戒処分とした不適正事務の内容と要因は、別掲の通り。簡易水道事件後の取り組みに関して当局は、同様の事案は発生していない一方で「懲戒処分事案は、責任感の欠如やコミュニケーション不足等が要因となっていることから、職員のさらなる意識向上等を図るための研修や各職場におけるコミュニケーションの円滑化など特に人事体制に関する改善の取り組みが不足していた」と総括した。
 チェック体制に関しては「事案1と事案2は、上司が業務の進捗確認を行っていたものの、担当者が進捗状況を偽って報告していたことで防ぐことができなかった。事案3は、担当者が県への補助金等請求期限直前に起案文書を上司に回覧したため、チェック不十分な状態で決裁したことが要因で、進捗管理に問題があった」とまとめた。
 再発防止の観点として▽職員のさらなる意識向上▽職員の事務処理能力の向上▽上司による進捗管理の徹底▽組織の仕組みや体制の見直し──を挙げた。そのうえで、各種研修の実施・見直しや正確性重視の徹底に加え、人事評価の仕組み・運用や、風通しの良い職場づくりに向けた手法の各見直しに言及した。
 質疑では、再発防止策の徹底に加え、ミスが出にくい、分かりやすい事務手続きにする国や県への働きかけなどが話題に。日頃からの職員研修の重要性を訴える議員も見られた。
 不適正事務の要因となった虚偽やごまかしの防止に関し、松川伸一総務部長は「ミーティングを重ねていくというのは、大事な観点。目線を合わせて話す大切さを意識づけしながら徹底したい」と答えた。
 厳しい財政が続く中、事案3では本来受け取れる5700万円が交付されない状況となったことにも、厳しい発言が相次いだ。今後も追加交付の見込みはなく、当局は「その分収入が不足している」との見解を示した。
 また、一連の事案に対して特別職の処分がないことについて、当局は「(市長らが)就任前の事案が含まれ、発覚後に適切に対応している状況などから、責任を問えるものではない」と語った。
 通常、全員協議会は、当局からの要請をもとに開催されることが多い。今回は懲戒処分が明らかになって以降、議会内で公での協議を求める声が出たことから、議長から当局に説明や出席を求めたことで実現した。
 伊藤力也議長は「議員が非常に重い案件として受け止め、再発防止に対して高い意識を持っている表れ」と話した。