新鮮なサンマを石川県へ 大船渡水産物商業協同組合 500匹直送で復興支援(別写真あり)

▲ 大船渡水産物商業協同組合が被災した石川県へサンマ500匹を直送

 気仙の鮮魚小売業者などで構成する大船渡水産物商業協同組合(新沼哲理事長)は18日、石川県水産物商業協同組合連合会に大船渡で水揚げされたサンマ500匹を送った。今年1月の能登半島地震と9月の奥能登豪雨で甚大な被害を受けている石川の住民らを励ますとともに、東日本大震災時の支援への感謝を伝えようとの取り組み。箱詰め作業にあたった関係者らは「旬のサンマを食べて元気を出してほしい」と度重なる災害に見舞われた現地住民に思いを寄せている。(菅野弘大)

 

 大船渡水産物商業協では毎年、地元産の生鮮サンマを全国各地に届ける「大船渡港さんま直送便事業」を展開。今年は前年より3日早い先月19日に初発送を迎え、7000箱を超える注文を受けている。
 石川県への支援は「震災で全国から多くの支援をもらい、被災地の復興の力になれないか」との思いで一致し、理事会で正式に決定。新沼理事長は「支援を考えた時に、われわれにできることは新鮮なサンマを届けるほかにない」と語り、直送に向けて調整を進めてきた。
 送り先は、全国水産物商業協同組合連合会会員のつながりを生かし、石川県水産物商業協連に決定。金沢市では、20日(日)に中央卸売市場の市場通りで「商店街まつり」が開催される予定で、イベント会場でのサンマ提供に合わせて18日の発送となった。
 同日は、大船渡市魚市場に地元内外の大型サンマ船6隻が入港し、今季最多を更新する295㌧の水揚げがあった。大船渡町の組合作業場では、午前8時前から約10人の関係者が直送便の箱詰め作業にあたり、石川県へと送る大サイズのサンマを50匹ずつ10箱に分けて梱包した。
 能登半島地震の被害は大きく、豪雨も被災地に追い打ちをかけた。現地では思うように復興が進まず、長期避難を余儀なくされている住民も多い。
 箱詰め作業を見守った新沼理事長は「向こう(石川)は水産のまちとして有名だが、地震で地盤が隆起するなど、海も大きな被害を受けていて心が痛む。サンマは日本海では取れない魚で、金沢ですぐに提供してもらえると聞き、喜んでいただけるのではないかなと思う。金沢に避難している能登の方にもぜひ食べていただきたい」と期待を込め、「われわれも震災で被災し、たくさんの支援をもらった。苦しい中でも何とか復活してほしい。こうした機会が、まち同士の交流の輪を広げるきっかけにもなればうれしい」と話していた。
 大船渡水産物商業協では、今後も同様の取り組みを展開していきたい考えで、直近では七尾魚商業協同組合への支援を計画している。