2024衆院選岩手2区/気仙地区、中盤の情勢 鈴木氏・・・実績強調し支持固める 中村氏・・・野党共闘で追い上げへ

▲ 支持基盤を固めて一歩リードする鈴木氏。中村氏は浸透を図りながら追い上げる

 第50回衆議院議員総選挙は、15日の公示から6日目を迎えた。気仙3市町を含む岩手2区には、届け出順に、自民党の前職・鈴木俊一氏(71)、立憲民主党の新人・中村起子氏(59)が立候補し、一騎打ちによる与野党対決が展開されている。気仙では、内閣の主要ポストを務めるなど知名度と実績で優位に立つ鈴木氏が、令和3年の前回選までの支持を固めながら先行。衆院選初挑戦となる中村氏は、野党系議員などの支援を受けながら浸透を急ぎ、追い上げを図っている。

 

 27日(日)の投開票へ舌戦が繰り広げられている衆院選。小選挙区(289議席)と、全国11ブロックごとの政党得票率で選出する比例代表(176議席、うち東北12議席)で、計465議席を争っている。
 勝敗ラインを自民、公明合わせて過半数の233議席獲得とする与党に対し、野党は「政治改革」と「政権交代」を掲げ、与党の過半数阻止に向けて議席の切り崩しを図っている。岩手2区は与野党一騎打ちの構図となり、2氏が激しい戦いを繰り広げている。
 小選挙区の区割り改定で気仙が地盤となってからは、3度目の戦いとなる鈴木氏。首相を務めた善幸氏(故人)を父に持ち、自身の閣僚経験、県内で長く続けてきた漁港検診などを通じ、気仙地区でも知名度は高い。
 事実上の与野党一騎打ちとなった前回選は、2区内の23市町村すべてで野党統一候補を上回り、気仙3市町もほぼダブルスコアで圧勝した。
 岸田内閣で財務大臣を3年務め、石破茂新内閣では党の総務会長に就任するなど、知名度はさらに高まった。鈴木氏自身も各地の街頭演説で財務大臣としての実績を強調しながら支持を呼びかけている。
 気仙では、党支部や前々回選後に結成された気仙地区後援会が中心となって活動。農林水産業や建設業をはじめ、各産業に幅広く浸透し、非自民層も取り込みながら支持を広げる。比例東北議席確保を目指す友党の公明党と連携し、強固な基盤を築くが、後援会幹部は「政治とカネの問題もあり、全国的に自民は逆風の中にある。楽観はしない」と気を引き締めつつ「これまでの流れもくんで支持拡大を図る」と語り、気仙3市町では前回選並みの得票率を目指す。
 対する中村氏は、かつて衆議院議員を6期務めた黄川田徹氏=陸前高田市=の支えを受けて挑む。出身は盛岡市だが、祖父が八幡平市、祖母が久慈市の出身で、「ルーツは2区にある」と自身も語り、地縁を生かして知名度不足を解消しながら追い上げている。
 昨年、2区の公認候補予定者となって以降、23市町村をくまなく回りながら地域課題を吸い上げ、自身の掲げる政策にも反映させながら選挙期間中の街頭演説で訴えている。
 気仙では野党系市議らや連合気仙からも支援を受け、支持拡大を目指す。一部市議らは衆院選と投開票日の重なる参議院岩手選挙区補欠選挙に立民公認で立候補している木戸口英司氏(61)も応援しながら、連動による支持の広がりを図っている。一方で、木戸口氏の後援会気仙支部は中村氏の選挙には関わらないスタンスを取るなど、共闘は完全な一枚岩ではない。
 中村氏を支持する議員の一人は「相手は固い地盤を持ち立派な人物だが、(中村氏の)名前は少しずつ浸透している。日々、支援の広がりを感じている。この選挙を『健全な政権交代』への第一歩にしたい」と厳しさを認識しつつも、自民票の切り崩しに躍起だ。
 県選管によると、15日現在における2区の選挙人名簿登録者数(在外含む)は、34万9768人(男16万8352人、女18万1416人)。3年10月の前回選公示日に比べ、2万537人の減。
 このうち、大船渡市は2万8309人(男1万3477人、女1万4832人)、陸前高田市は1万5373人(男7415人、女7958人)、住田町は4174人(男2043人、女2131人)。前回選公示日比で大船渡市は1965人、陸前高田市は825人、住田町は356人減った。