上半期は前年度比1.5倍 市のふるさと納税寄付額 好調維持で年末需要期へ
令和6年10月23日付 1面
大船渡商工会議所(米谷春夫会頭)が主催する「ふるさと納税掲載事業者対策セミナー」は21日、盛町の同商議所で開かれた。昨年度から市と新たに契約を結んだ業務受託事業者による取り組みが本格化して以降、実績を大きく伸ばしており、本年度上半期は前年度比約1・5倍増で推移している。年末需要の取り込みに向けては、在庫確保など準備体制の重要性が増す中、民間事業者と行政、受託事業者が意識統一を図った。(佐藤 壮)
事前対策に向けセミナー
同商議所では昨年度から、市内事業所の販路開拓に向けた事業の一環で、市ふるさと納税の活用・参加支援に力を入れている。セミナーには市内の事業所関係者ら約30人が出席した。
冒頭、同商議所の小原勝午事務局長は「まだまだ大きな伸びしろがあり、在庫を切らしているといった事情による販売機会の喪失は避けたい」とあいさつ。市企画政策部の佐藤雅俊部長も今後のさらなる寄付増に期待を込めた。
「年末需要期に向けた事前対策について」をテーマに説明役を務めたのは、㈱パンクチュアル大船渡営業所の佐藤陽子所長。同社は高知県須崎市に本社を構え、同市や静岡県沼津市などで金額を大幅に伸ばした実績があり、大船渡市では令和5年度から受託事業者となった。
説明によると、3~4年度は2億円前後で推移していたが、5年度は約4億9000万円にまで伸びた。本年度は毎月3000万円以上の寄付が続き、4~9月の上半期累計は2億3600万円。5年度同期の約1億6110万円と比較し、約1・5倍の実績となった。
こまめに市内事業所を回り、ホームページ上での返礼品画像の「見せ方」や、ハッシュタグの付け方などをきめ細かくアドバイス。水産品にとどまらず菓子類なども伸び、市内事業所の参画意欲が高まっている。
一般的にふるさと納税は、寄付の上限が確定する年末に〝駆け込み〟の申し込みが多くなる。市でも昨年度、12月だけで約2億円に達した。上半期と同様に1・5倍の実績となると、3億円超が予測される。
寄付が伸びる中、課題の一つは在庫確保。佐藤所長は「12月は返礼品にもよるが、9~10月と比較して1・5倍増、多いもので4倍増の寄付が予想される。無理のない範囲で在庫の確保をお願いしたい」と述べたほか、発送期間を見直すといった対策例も示した。
返礼品をインターネットの専門サイトに掲載している事業者数は106事業者で、4年度比でほぼ3倍となった。返礼品数は4年度の203品から839品にまで増えた。市内の生産事業者にはほぼ声がけを終えている中、7月以降、新規返礼品の開発と合わせ、既存返礼品の〝磨き上げ〟に力を入れている状況にも触れた。
具体的には▽検索に引っかかりやすいタイトルの変更▽一目で分かり、選ばれやすくするサムネイル画像の修正・変更▽商品がどんな状態で届くかを明確にするページづくり▽容量・金額の多様化──などを挙げた。
出席者は終始熱心な表情で聴講。市では本年度、目標額を6億円に設定している中、商議所は今後も、ふるさと納税事業に参画する事業所を受託事業者につなぐなどしながら、販路開拓を後押しする。
㈱パンクチュアル行政アライアンス事業部の桶谷あゆこエリアマネージャーは「近年は魚の人気も高まっており、大船渡市はもっと伸びる可能性があるが、1次産品に頼っている現状があり、通年で出せる返礼品の充実も鍵になっている。昨年度の実績を生かしながら、既存返礼品の見直しに加え、さらなる新規開拓も進めたい」と話す。
寄付額の推移は別掲。