郵便局委託で質問も 吉浜地区で住民説明会 出張所廃止方針巡り

▲ 吉浜地区で開催された説明会

 大船渡市による「綾里及び吉浜地域振興出張所の今後の運営に関する住民説明会」は22日夜、吉浜地区拠点センターで開かれた。市はいずれも令和8年3月末での廃止を目指し、窓口事務を郵便局に委託するなど住民サービス維持に向けた検討方針を示した中、個人情報の漏えい防止策などを巡り意見が交わされた。25日(金)には綾里地区でも開催される。
 市は本年度に入り、7月の市議会全員協議会に加え、8月には両地区の公民館やまちづくり組織の各関係者に廃止方針を説明。住民向けの説明会には約20人が出席し、市側は渕上清市長や引屋敷努副市長らが並んだ。
 渕上市長は「社会環境の変化や人口減少などを受け、見直しを進めてきた。多くの意見をいただきたく説明会を設けた」とあいさつ。市側の概要説明では、人口や税収の減少が続く中、全庁を挙げた事務事業見直しの一環で出張所のあり方も検討してきた経過などを示した。
 平成26年度と比較し、令和5年度の年間窓口利用者数は綾里で26%、吉浜で34%、住民票など証明書の交付件数は綾里で41%、吉浜で53%それぞれ減少。吉浜の利用者数は1日平均で8人で、ピーク時の半数以下となっている。
 こうした利用減少の要因も解説。合併した平成13年度における三陸町の人口は8300人を超えていたが、22年間で38%減少し、令和5年度末で5100人台となった。また、マイナンバー情報連携による書類提出の省略が進んだほか、証明書のコンビニ交付実績が増加。クレジットカードなど納付方法が拡大し、三陸沿岸道路や県道整備も進んだ現状を挙げた。
 出張所廃止後の住民サービス提供維持に向けては▽地元郵便局への窓口事務包括委託▽オンライン手続きの拡大推進▽綾姫ホールと吉浜地区拠点センターの維持管理に向けた指定管理者制度の導入──を検討。越喜来の三陸支所は存続する。
 郵便局に委託する見込みなのは戸籍謄抄本、住民票と戸籍附票の各写し、印鑑登録証明書、所得・所得課税証明書の各交付など。市役所あて文書や、市の各種事務に関する相談も取り次ぎ、三陸支所などにつなぐ。
 住民2人が発言。「個人情報が漏れないか心配。漏れた場合は、誰が責任を取るのか」といった声に対し、市側は郵便局への窓口業務委託は総務省が推進している現状や、法律に基づいて手続きを進め、秘密情報の取り扱いなどを契約条項に盛り込む流れを説明した。三陸支所が窓口となり、委託先の漏えい防止を管理する体制も示し、理解を求めた。
 職員の人員削減も話題に上った。出張所廃止により職員は3人減となる。市全体としても、職員数や人件費の削減を進める方針も掲げた。
 25日午後7時からは、綾里地区コミュニティ施設・綾姫ホールで開催され、誰でも参加できる。説明内容は、吉浜地区とほぼ同じで、事前の申し込みは不要。
 住民説明会以外でも、11月15日(金)まで市役所本庁や両出張所にある市民提言箱などで意見を受け付ける。問い合わせは、市三陸支所(℡27・3111内線7101)へ。