2024衆院選岩手2区/気仙地区 終盤の情勢  鈴木氏・・・知名度生かしリード  中村氏・・・懸命に追い上げ図る 

 第50回衆議院議員総選挙は、27日(日)に投開票が行われる。気仙3市町を含む岩手2区には、届け出順に自民党の前職・鈴木俊一氏(71)と立憲民主党の新人・中村起子氏(59)の2氏が立候補。全国多くの小選挙区で与党の過半数獲得を野党が阻止すべく舌戦が展開されている中、2区は与野党一騎打ちが繰り広げられており、10期の実績と閣僚経験で抜群の知名度を持つ鈴木氏を、衆院選初挑戦の中村氏が追い上げる展開で、選挙戦は最終盤に突入した。

 

実績を掲げリードする鈴木氏

 平成29年の前々回選から、小選挙区の区割り改定で気仙地区も地盤となった鈴木氏。前回選、気仙3市町では野党統一候補に約1万1021票差をつけて勝利した。岸田内閣では財務相、石破新内閣では党総務会長というポストを担って迎える今回は、通算10期の実績と知名度の高さを背景に支持を固めて先行している。
 公務や他候補の応援で選挙期間中の気仙入りが限られる中、序盤に街頭演説を重ね、財務相としての実績も強調しながら農林水産業の振興、国土強靱化などを訴え、幅広い職域に党派も超えて浸透し、安定した戦いぶりをみせる。本人不在時にも、長男で秘書の俊太郎氏(42)が街頭演説に立って支持を訴えるなど、攻勢は緩めていない。
 広く支持を集めている一方で、自民党は政治資金問題などによって有権者の厳しい目にさらされている。逆風の中、気仙の陣営幹部は「気を引き締めなければ」と、3市町では前回選並みの得票率を目標に活動している。

追い上げを図る中村氏

 対する中村氏。相手を〝強敵〟と認めつつ、かつて衆議院議員を6期務めた黄川田徹氏=陸前高田市=の支えも受けて活動。精力的に選挙区を回りながら訴えを響かせ、鈴木氏を懸命に追い上げている。
 気仙では野党系市議や連合気仙などからの応援を得ており、大船渡、陸前高田の両市で個人演説会も開き、集まった聴衆に自身の掲げる政策を訴えるなどして課題である知名度不足解消を図り、自民の批判票も取り込んでいる。
 中村氏を支持する議員らは「知名度は少しずつ浸透している」と、一定の手応えをみせるが、「相手は固い地盤がある。加えて『自民党は応援していないが俊一さんは別』と言う住民もおり、野党支持層にも浸透している。厳しい戦いだ」ともつぶやく。
 24日に陸前高田市内で行った街頭演説では黄川田氏も応援のマイクを握り、「政治を動かすのは有権者。これまで通りの投票行動でいいのか、一人一人が『変わるんだ』という思いで中村起子を送り出してほしい」と支持を呼びかけた。


参院補選は木戸口氏先行

 

 元・新5氏が立候補し、衆院選と同日投開票日となる参議院岩手選挙区補欠選挙では、立民の元職・木戸口英司氏(61)が先行。以下、届け出順に、参政党の新人・吉田利也氏(48)は出身地である陸前高田市をはじめ気仙も精力的に回って集票を図り、諸派の新人・小田々豊氏(69)は独自の戦いを展開。幸福実現党の新人・松島弘典氏(67)、無所属の新人・田中亜弓氏(53)も広く県内を回って支持を訴えている。
 県選管によると、15日現在における2区の選挙人名簿登録者数(在外含む)は、34万9768人(男16万8352人、女18万1416人)。3年10月の前回選公示日に比べ、2万537人の減。
 このうち、大船渡市は2万8309人(男1万3477人、女1万4832人)、陸前高田市は1万5373人(男7415人、女7958人)、住田町は4174人(男2043人、女2131人)。前回選公示日比で大船渡市は1965人、陸前高田市は825人、住田町は356人減った。