気仙は10㌔平均5万8660円 県漁連で11月分アワビ事前入札会 高水温影響で前年同期比26%下落

▲ 高水温の影響を受けているアワビ。今後の漁況に注目が集まる(昨年11月)

 県漁業協同組合連合会は24、25の両日、今年第1期(11月分)のアワビ事前入札会を開いた。気仙地区からは4漁協が上場し、水揚げ予定数量は前年同期を下回る17・8㌧、10㌔当たりの平均価格は5万8660円で、前年の7万9000円台から26%下落した。海水温の上昇が、アワビの成育に影響をおよぼす懸念が値下がりの要因とされる。第1期の漁は11月1日(金)に解禁され、気仙では4漁協で開口を予定している。(菅野弘大)

 気仙地区分の入札は1日目に実施。予定数量合計は17・8㌧で、前年比0・7㌧減。10㌔当たりの平均価格は5万8660円で、前年を2万843円下回った。平均価格の最高値は、昨年に続き吉浜漁協(専属)の6万5200円。昨年より2万7800円値下がりした。
 近年の気仙地区の第1期入札結果の平均は、平成28年が6万円台、29年が7万円台となり、30年は不漁傾向を反映して10万円台まで上昇。令和元年は11万円とさらに上がった。
 2年は新型コロナウイルスの影響で、7万円台まで低下。3年は上昇に転じ、4年は令和元年に近い水準まで戻った。
 昨季における気仙沿岸の漁獲実績(1号品)は、第1期(昨年11月)と第2期(同12月)を合わせ、前年度比21%減の14・90㌧。金額は1億736万円で、2億1191万円だった前年度からほぼ半減した。
 今年は、東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に伴う中国の禁輸措置の影響などが懸念されていたが、関係者によると、干鮑の香港市場では、風評被害が収まりつつあるという。
 一方で、漁場となる海では高水温が続いており、アワビの餌となる昆布の生育が振るわず、餌不足が深刻な状況に。香港では10㌢以上の干鮑が重宝されるが、それに満たない大きさが予想され、「ものが小さい」ことが価格下落の最大の要因とされている。
 気仙の5漁協のうち、綾里は昨年に続いて11月分の上場を見送り、12月の上場を予定。「資源保護と高水温の影響による海況の変化を考慮した」という。
 12月1日(日)からとなる第2期分の入札は11月30日(土)に行う。気仙地区の漁協ごとの第1期分入札価格(10㌔当たり)、予定水揚げ数量、口開け回数は次の通り。
 【広田湾漁協】
 ▽気仙=6万1690円、0・2㌧、1回
 ▽小友只出=5万6690円、0・4㌧、2回
 ▽広田1区=5万8500円、2㌧、2回
 ▽同2区=5万3500円、2㌧、2回
 ▽同3区=5万3500円、2㌧、2回
 【大船渡市漁協】
 ▽末崎=5万8600円、3㌧、2回
 ▽赤崎=6万3050円、2㌧、2回
 【越喜来漁協】
 ▽専属=5万5200円、1・2㌧、1回
 ▽入会=5万7200円、1㌧、1回
 【吉浜漁協】
 ▽専属=6万5200円、3㌧、2回
 ▽入会=5万7200円、1㌧、1回