2中学校で統合前最後の文化祭(別写真あり)

▲ 末崎中では地元のワカメ養殖にスポットを当てた劇を披露
▲ 全校合唱で感謝を伝える大船渡中の生徒ら

 来年度の学校統合に伴い、本年度で閉校する大船渡市の大船渡中学校(和賀真樹校長、生徒125人)と末崎中学校(佐々木伸一校長、生徒71人)の文化祭は、26、27の両日、各校で開かれた。生徒らが、母校の歴史を振り返りながら、学校生活を支えた地域への感謝を込めて、最後の文化祭に一致団結した。(菅野弘大)

 

支えへの感謝込めて合唱、郷土芸能を披露/大船渡中

 

 大船渡中は26日に合唱コンクールや吹奏楽部の演奏、27日に郷土芸能発表をそれぞれ実施。生徒会スローガン「笑進~仲間を愛し、地域に愛される大中生へ~」を掲げ、力を入れて取り組みを進めてきた。
 郷土芸能発表では、大船渡町に伝わる仰山流笹崎鹿踊り、赤澤鎧剣舞、平七福神を、生徒らが堂々と披露。演舞の指導にあたった住民らも見守る中、地域と学校で受け継いできた伝統の舞で躍動の姿を見せた。
 閉祭式では、合唱コンクールの結果発表に続き、生徒会企画として、文化祭の取り組み期間中の様子をスライドショーで上映。最後の全校合唱では、東日本大震災を機に生まれた合唱曲『群青』など3曲で歌声を重ね、地域の支えに対する感謝を伝えた。
 山田暖心さん(3年)は「最後の文化祭を地域の記憶に残るものにしたいと、みんな気合が入っていた。新しい大船渡中の土台となる取り組みを、後輩たちに引き継いでいきたい」と話していた。

地域産業の誇り胸に小松藤蔵の演劇など/末崎中

 

 27日に文化祭を開催した末崎中は、地域に笑顔と感謝を届けるべく、「彩」をテーマに設定。合唱や演劇で、地域とともに歩んだ校史を振り返った。
 全校で披露した演劇「海と生きる」は、末崎町で日本初のワカメ養殖の技術を確立した地元の先人・小松藤蔵さん(平成9年没)が題材。地域の漁業安定や所得向上のため、自然災害に見舞われながらも、養殖による生産手法の定着を目指して奮闘する姿を描いた。
 失敗を繰り返しながらも研究に力を注ぎ、津波で道具などを失っても、「この海を守りながら、一緒に生きていくんだ」と、成功にたどり着いた先人の偉業を演じた生徒ら。平成14年から同校が続けてきたワカメ養殖学習への協力に対する感謝も込め、最後は末中ソーランで締めくくった。
 主演を務めた佐藤英悟さん(3年)は「卒業した先輩方の思いも胸に取り組んだ。ワカメ養殖をはじめ、学習に協力してくださった多くの方に感謝を伝えられた」と充実感をにじませた。