2024衆院選岩手2区/自民・鈴木氏圧勝で11選 与野党一騎打ち制す 中村氏(立民)に4万5056票差 選挙区全市町村で勝利

▲ 11回目の当選を喜ぶ鈴木氏陣営

 第50回衆議院議員総選挙(総定数465)は、27日に投開票が行われた。議席過半数獲得を目指す自民・公明の与党と、政権交代を掲げる野党の対決を軸に展開された今選挙。気仙3市町を含む岩手2区は、政権与党の一員として、これまでの閣僚実績を掲げながら被災地の復興完遂、地方創生などを訴えた自民党の前職・鈴木俊一氏(71)=公明党推薦=が全23市町村で勝利し、計11万5772票を得て通算11選を果たした。衆院選初挑戦となった立憲民主党の新人・中村起子氏(59)は7万716票で、追い上げをみせるも鈴木氏に4万5056票差で敗れた。

 

 鈴木氏陣営は滝沢市の選挙事務所近くにあるニューシビックセンターで吉報を待ち、午後8時の投票終了直後にテレビで当選確実の速報が映し出されると、集まった支持者から拍手が湧き起こった。
 党総務会長を務める鈴木氏は同日、東京都内の党本部に詰めていたため事務所には姿を現さなかったが、妻の敦子さん(70)、長男で秘書の俊太郎さん(42)が会場に入り、支持者との万歳三唱で通算11度目となる当選の喜びを分かち合った。
 壇上に上がった俊太郎さんは「本人が4日間しか選挙区に入ることができず、不安な思いで戦ってきた」と振り返ったうえで、選挙期間中に鈴木氏本人が訴えてきた公約に触れながら「明日からまた、約束を果たすために頑張りたい」と代弁した。
 衆院選は、自民・公明の与党が定数3分の2超の大勝をおさめた令和3年以来3年ぶり。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けての政治改革、物価高に対する経済対策がなどを争点に、小選挙区(289議席)と、全国11ブロックごとの政党得票率で選出する比例代表(176議席、うち東北12議席)で、計465議席を争った。
 前回選からの3年間で財務相を務め、今月発足した石破総裁体制の党では四役に挙げられる総務会長に就いた鈴木氏。選挙戦ではこれまでの閣僚実績を掲げるとともに、東日本大震災からの復興完遂、国土強靱化、地方創生、産業活性化、物価上昇に伴う経済対策、国際リニアコライダー誘致などへの訴えを強めた。
 気仙では党支部や前々回選後に結成された気仙地区後援会が中心となって活動を展開。職域・党派を超え、自民が政治資金問題で逆風にさらされる中にあっても幅広く支持を集め、安定した戦いぶりをみせた。
 一方の中村氏は、野党系市議らや連合からの支援を受けて挑み、気仙では一定の支持を得たが、及ばなかった。
 気仙の投票率(小選挙区)は大船渡市が59・53%(前回選比5・45ポイント減)、陸前高田市が64・56%(同2・61ポイント減)、住田町が63・00%(同4・26ポイント減)。2区全体は55・14%(同5・14ポイント減)だった。
 【鈴木氏の略歴】
 昭和28年生まれ。早稲田大学卒。全国漁業協同組合連合会勤務、父・鈴木善幸氏秘書を経て、平成2年の第39回総選挙で初当選。厚生政務次官、外務副大臣、環境相、五輪相、財務相など歴任。自民党総務会長。住所は山田町八幡町。