産金の歴史伝える役目に幕 オリエントロマン館が閉館 収蔵品は竹駒牧野(陸前高田市)に譲渡
令和6年11月1日付 3面
大船渡市猪川町中井沢の産金遺跡資料施設・オリエントロマン館が、10月31日をもって閉館した。産金遺跡研究会(野村節三会長)元会員の故・嶋村克彦さん(享年83)が、気仙の金山を歩いて採集した石や、金採集に使われた石臼などのコレクション125点を保管し、同研究会の活動場所として開設。収蔵品は、陸前高田市の一般社団法人竹駒牧野(上部眞裕代表理事)が引き取り、金で栄えた気仙の歴史を伝える取り組みに活用する。(菅野弘大)
元中学校教員の嶋村さんは定年退職後、かねて興味のあった気仙の金山歩きを始めた。同研究会にも入会し、幼い頃から心の中にあった〝黄金ロマン〟を膨らませながら活動を続けた。
嶋村さんは、その地を歩いた証しとして、石を一つでも持ち帰ることを活動時の目標としていた。石だけでなく、江戸時代以降、金鉱石を砕くために使われた石臼なども多く発見し、「気仙の金山歴史学における確実な証拠になる」と喜んで持ち帰ったという。
オリエントロマン館は、これらの石や石臼、金にまつわる物品、資料を保管するとともに、同研究会の活動拠点にしようと、平成19年に開設。会員らが頻繁に集まって話し合いをしたり、日本鉱物学会(現・一般社団法人日本鉱物科学会)の専門家なども見学に訪れ、「これほど広範囲のものが保管されている場所は珍しい」とうなるほど、嶋村さんが集めた品々には歴史的価値があった。
嶋村さんはその後、病床に伏し、平成28年に他界。同館は妻・良子さん(87)が管理人を引き継ぎ、運営を続けてきたが、高齢化などによって管理が難しくなったことから、閉館を決意。同研究会のつながりも生かして収蔵品の譲渡先を探していたところ、陸前高田市の玉山金山遺跡を管理、産金の歴史発信に取り組む竹駒牧野が手を挙げた。
嶋村さんの息子・考造さん(59)は「金山に興味のない人からすれば、ここにあるものはただの石かもしれない。でも、米崎町出身の父が集めた品が古里に戻り、活用されることで、父も納得してくれるかな」と思いをはせる。
同30日にも、竹駒牧野のメンバー3人が同館を訪れ、収蔵品を一つ一つ確認。竹駒牧野では今後、竹駒町の霊泉・玉乃湯そばの建物を改修し、引き取った収蔵品を活用した産金にまつわる展示、体験施設をオープンする予定。及川賢治常務理事(69)は「嶋村さんとも交流があり、収蔵品と活動に込めた思いも引き継ぎながら、金山の歴史や魅力を次世代につないでいきたい」と力を込める。
収蔵品の搬出作業は、早ければ今月末から始まる。良子さんは「閉館を残念に思う方もいるかもしれないが、これからは竹駒牧野の皆さんが収蔵品を活用して盛り上げてくださることと思う。産金遺跡研究会をはじめ、多くの方々にお世話になり、ありがたかった」と感謝を伝えていた。





